セント・アンドリュースでゴルフ・デビューを飾ってしまった。
イギリスはいくつかの近代スポーツの「発祥の地」として知られるが、ゴルフもその一つ。スコットランド南東部、ファイフの海沿いにあるセント・アンドリュースの「オールド・コース」は600年前に造られた世界最古のゴルフ・コースだ。世界中のゴルファーたちが思いを馳せる、ゴルフの聖地なのである。
と言ってもトライしたのはアカデミーでのスウィング練習だったので、コースを歩いたわけではない。それでも貴重な体験として私の人生記に刻まれた。英国政府観光庁さんが主宰するプレス・ツアーの一環で参加させていただいたのだが、なにせテーマが「ロイヤル・ブリテン」。行く先々で「イギリス最高」の体験が待っているのである。前回のポロに引き続き、このツアーで体験した輝かしい「初めて」の一つとなった。
さらにセント・アンドリュースと言えば、ウィルとケイトのロイヤル・カップルが学生時代に初めて会った場所でもある。15世紀創設のセント・アンドリュース大学はゴルフ場と隣接しているので、学生たちは割引価格でプレイを楽しめるのだそうだ。中世からの過酷な宗教改革と内戦で疲弊し、鳴かず飛ばずの地方都市だったセント・アンドリュースは、1960年代になってこれら中世の遺産であるゴルフと大学で町興しを試み、見事に再生した。現在は前途有望な学生たちが闊歩し、世界中から訪れるゴルファーたちで賑わう魅力あふれる街に変貌している。
これだけ世界中から注目を浴びる名門ゴルフ場だが、嬉しいことにここはパブリック・コース。会員でなくても申し込めばプレイできる。もっとも超のつく初心者ならば、附属アカデミーでインストラクター付きのレッスンを楽しむことをおすすめする。ぜいたくなことに、ここでは一流のインストラクターから手取り足取り基本のキを分かりやすく学ぶことができるのも素晴らしい。
セント・アンドリュース・ゴルフ・アカデミーのインストラクターたちは、気さくでありながらも超一流揃い。この日、私たちに稽古をつけてくれたのはグレッグさんとスコットさんの2人で、どちらもプレーヤー、コーチングの両分野でトップクラスの経験を積んだ方。自然体でどんなふうにすればボールが飛ぶのかをやさしく教えてくれた。彼らみたいにスカっと空へ向けて飛ばせたら、気持ちいいだろうな〜!
https://www.standrews.com/Learn/Golf-Academy
スウィングは日本人なら型から入って型に終わりそうだけど、当てることが目的なので型を一通りやったらとにかく球を狙って当てて行けと言われる。初心者でもプロの型を盗めば意外と 当たるし遠くへも飛ぶようになる。しまいには他のガールズたちの型を見て直してあげたりと・・・『ホールインワン』の知識が大いに助けとなり(笑)、とても充実したスウィング体験となった。
スウィルカン橋を舞台にした数々の感動の場面はこちらで。
オールド・コースの歴史を知るガイド・ツアーが春から秋にかけて行われているので、興味ある方はぜひ。
セント・アンドリュースは、そのワイルドな地形が味わいの一つであり、海にのぞむ自然をそのまま生かしたコースは歩くだけで心洗われるに違いない。一方で、自由気ままに振る舞う自然の懐を読みながら、数多くのバンカーを御して意に沿うようボールを運んでいく作業の困難を思うと、渺漠とした思いになる。しかしあなたが真のゴルファーなら、そのチャレンジに喜んで挑むだろう。
おまけ:
残念ながらこのツアーではセント・アンドリュースの街をゆっくり散策することができなかったとはいえ、ウィルとケイトが「初めて会った」とまことしやかに言われている「Northpoint Cafe」には立ち寄ることができた。店内に入ると・・・すごい人気!! 学生さんと思われるグループでほぼ満席。私たちは時間がなかったのでスコーンと紅茶を持ち帰りにしてバスの中でかぶりついたのだが・・・大ぶりビスケット・タイプの伝統スコーンは大変美味しく、さすが田舎のティールームならでは。ほろりとロイヤルな味がした。
イギリスはいくつかの近代スポーツの「発祥の地」として知られるが、ゴルフもその一つ。スコットランド南東部、ファイフの海沿いにあるセント・アンドリュースの「オールド・コース」は600年前に造られた世界最古のゴルフ・コースだ。世界中のゴルファーたちが思いを馳せる、ゴルフの聖地なのである。
と言ってもトライしたのはアカデミーでのスウィング練習だったので、コースを歩いたわけではない。それでも貴重な体験として私の人生記に刻まれた。英国政府観光庁さんが主宰するプレス・ツアーの一環で参加させていただいたのだが、なにせテーマが「ロイヤル・ブリテン」。行く先々で「イギリス最高」の体験が待っているのである。前回のポロに引き続き、このツアーで体験した輝かしい「初めて」の一つとなった。
さらにセント・アンドリュースと言えば、ウィルとケイトのロイヤル・カップルが学生時代に初めて会った場所でもある。15世紀創設のセント・アンドリュース大学はゴルフ場と隣接しているので、学生たちは割引価格でプレイを楽しめるのだそうだ。中世からの過酷な宗教改革と内戦で疲弊し、鳴かず飛ばずの地方都市だったセント・アンドリュースは、1960年代になってこれら中世の遺産であるゴルフと大学で町興しを試み、見事に再生した。現在は前途有望な学生たちが闊歩し、世界中から訪れるゴルファーたちで賑わう魅力あふれる街に変貌している。
人口2万人程度の小さな街だけど、独特の活力がある
セント・アンドリュースはエジンバラから車で北へ約1時間半ほどの距離。世界最古のゴルフ場は市街地の西側に隣接して横たわっている。2008年には街の東側に7つ目のゴルフ・コース「The Castle Course」が新設され、北海に面したドラマチックなコースが街にさらなる興趣を添えている。 セント・アンドリュースの魅力はもちろん、オールド・コース抜きには語れないが、ドラマチックという意味ではこちらのカッスル・コースに軍配が上がりそう。
さて、今回のツアーに世界各地から参加したジャーナリスト諸君のうち、ほぼ全員がゴルフ初心者だったことは驚きに値するかもしれない。前回のポロでは、乗馬中級者が数人いたことを考えるとなおさら。だからこそ、全員がセント・アンドリュースの地で初ゴルフ体験ができたことを素直に喜んでいた。これだけ世界中から注目を浴びる名門ゴルフ場だが、嬉しいことにここはパブリック・コース。会員でなくても申し込めばプレイできる。もっとも超のつく初心者ならば、附属アカデミーでインストラクター付きのレッスンを楽しむことをおすすめする。ぜいたくなことに、ここでは一流のインストラクターから手取り足取り基本のキを分かりやすく学ぶことができるのも素晴らしい。
晴れた日ならサイコー! でも、この日は残念ながら小雨そぼ降る朝だった。でも打ちっぱなしなら関係なく楽しめる。
プロ・インストラクターの指導を受ける顧客。上の写真の手前にあるブースだ。
近年、スポーツは全てデータ、データ! ここでもあらゆるデータをとって改善に役立てている。
こちらが一般にも開放されている練習場。
ゴルフ初体験と書いたが、実はゴルフの知識がまったくなかったわけではない。子供の頃に『ホールインワン』というゴルフ漫画のファンだったおかげで、ゴルフのルールについてはよく知っていた。ルールだけでなく、グリーンの芝生の読み方とか、風が強いときのラインの読み方、バンカーにつかまる怖さなど・・・十代前半の子供にとって無駄な知識だけはいっちょ前にあった。ずっと後になるまでキャディはゴルファーの女房役であり、こまごまとした指示を与えてサポートするのが当たり前と思っていたほどだが(笑)、後から一般的なプレイではキャディを付けたり付けなかったりすることもあると知った。セント・アンドリュース・ゴルフ・アカデミーのインストラクターたちは、気さくでありながらも超一流揃い。この日、私たちに稽古をつけてくれたのはグレッグさんとスコットさんの2人で、どちらもプレーヤー、コーチングの両分野でトップクラスの経験を積んだ方。自然体でどんなふうにすればボールが飛ぶのかをやさしく教えてくれた。彼らみたいにスカっと空へ向けて飛ばせたら、気持ちいいだろうな〜!
https://www.standrews.com/Learn/Golf-Academy
市街地の北側にある6つのコース。ヴィクトリア女王の戴冠60周年(ダイヤモンド・ジュビリー)を記念して1897年に開設されたジュビリー・コースは、ご覧のように海風の影響をもろに受ける難関だ。
すっきり汗を流した後は、オールド・コースを見学しながらぐるりと散策。この日のハイライトはここ、18番ホールにあるスウィルカン橋! こちらがスウィルカン橋で、どのくらい古いかは正確には分かっていないが、およそ700年か800年頃のものと思われている。その下にはクリークが流れ、その昔、女たちが洗濯をしていた川だという。
オールド・コース1番ホールの眺め。
ゴルフを追っていない身としてはまったく知らずお恥ずかしい限りなのだが、セント・アンドリュースのオールド・コース18番ホールにあるスウィルカン橋と言えば、過去の伝説的な名プレーヤーたちが大切な試合で渡り、立ち止まり、涙を流しながらポーズを決めたゴルフを象徴するランドマークなのだとか。この日も見ている端からどんどんプレーヤーやビジターたちがポーズを決めて写真撮影をする様子を眺めることになり、そのカリスマを感じることができた。スウィルカン橋を舞台にした数々の感動の場面はこちらで。
オールド・コースの歴史を知るガイド・ツアーが春から秋にかけて行われているので、興味ある方はぜひ。
コースのすぐ脇にはゴルフの世界基準ルールを定めた英国ゴルフ協会(R&A)が本拠を構え、歴史ある建物から権威を見せつけている。
散策の最終目的地は、セント・アンドリュース・リンクス・クラブハウス。ここでは簡単な食事をとることができるほか、伝説の選手たちのメモラビアやお土産ものもたくさん揃えているので、リラックスしつつ記念品を見て回るのにうってつけ。ダイニングは2階にあるので眺めがいい! ビール・グラスも特製品。食事の質はまぁまぁ。
さて、本当に短時間のツアーだったのでセント・アンドリュースのエッセンスを味わったと言うのさえおこがましいが、それでも世界中のゴルファーが一目置くゴルフ・コースの端に身を置いて空気を吸って、専属インストラクターによる指導を受けてみて2つの感想を抱いた。一つは「ゴルフって意外と身近」ということ、もう一つは「ここで18ホール回るのは相当大変そう」ということ。セント・アンドリュースは、そのワイルドな地形が味わいの一つであり、海にのぞむ自然をそのまま生かしたコースは歩くだけで心洗われるに違いない。一方で、自由気ままに振る舞う自然の懐を読みながら、数多くのバンカーを御して意に沿うようボールを運んでいく作業の困難を思うと、渺漠とした思いになる。しかしあなたが真のゴルファーなら、そのチャレンジに喜んで挑むだろう。
おまけ:
残念ながらこのツアーではセント・アンドリュースの街をゆっくり散策することができなかったとはいえ、ウィルとケイトが「初めて会った」とまことしやかに言われている「Northpoint Cafe」には立ち寄ることができた。店内に入ると・・・すごい人気!! 学生さんと思われるグループでほぼ満席。私たちは時間がなかったのでスコーンと紅茶を持ち帰りにしてバスの中でかぶりついたのだが・・・大ぶりビスケット・タイプの伝統スコーンは大変美味しく、さすが田舎のティールームならでは。ほろりとロイヤルな味がした。
ここでゆっくり座ってクリーム・ティーをしたかったな。
江國まゆ
ロンドンを拠点にするライター、編集者。東京の出版社勤務を経て1998年渡英。英系広告代理店にて主に日本語翻訳媒体の編集・コピーライティングに9年携わった後、2009年からフリーランス。趣味の食べ歩きブログが人気となり『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房)を出版。2014年にロンドン・イギリス情報を発信するウェブマガジン「あぶそる〜とロンドン」を創刊し、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活について模索する日々。