英国を代表するブライドルレザーの名⾨、全ての製品がハンドメイドで製造されるグレンロイヤルの拠点があるのは、スコットランドの中部に位置する、エアシャー州(Ayrshire)。その中でも州都であるAyr(エア)は、海峡に⾯した美しい街で観光スポットも多いのにもかかわらず、その魅⼒があまり知られていません。今回は取材の途中に1 ⽇だけエアに⽴ち寄り、詩⼈ロバート・バーンズゆかりのエピソードなど、エアの⾒所をご紹介します。 スコットランドの南東部に位置する海沿いの街・エアは、1840年に鉄道が通ってから栄え、⽐較的穏やかな気候で知られており、観光客やリタイヤした⼈々に⼈気のリゾート地です。今回宿泊したのはまだ出来たばかりの可愛らしいB&B。清潔でリーズナブルな空間を提供している「Barns B&B」(barnsbandb@gmail.com)のオーナー夫妻にエアの魅⼒を聞いてみました。
『最近は、ゴルフで来られる⽅が多いです。エアから海岸線を南に16マイル下れば、トランプ⼤統領が経営することで有名な“トランプ・ターンベリー・ゴルフ場”があります。でも、エアと⾔ったら、やはり偉⼤な詩⼈、ロバート・バーンズの⽣家を巡るのが⼀番⼤切でしょう』とのアドバイス。早速出かけてみることにしました。
B&Bから7分も歩けば、エアの街の中⼼に着きます。ハイ・ストリートで⼀際⽬につくのが、ウオレス・タワーです。
1297年に、イギリス軍によってこの場所に幽閉されていたウォレスが、その建物に⽕を放って脱⾛に成功。500⼈のイギリス兵を殺したと伝えられています。記憶にとどめるために、そのまま廃墟となっていた地に、今の⼤きな塔を建てたのが、1832年と⾔われています。
ウォレス・タワーから南に数分歩くと、左側に“タム・オ・シャンター・イン”があります。藁葺き屋根が印象的なパブです。「タム・オ・シャンター(Tam O’Shanter) 」とは、バーンズが1792年に発表したスコットランドの魔⼥伝説に基づく詩。ロンドンのグリニッジにある帆船やウイスキーの名前で有名な「カティー・サーク(Cutty Sark)」は、スコットランド語で、詩に登場する若くて美しい魔⼥“ナニー”が来ていた下着(シュミーズ)のこと! ここを訪ねるまでその名の由来を知りませんでした。
エア周辺には、この“タム・オ・シャンター”に登場する場所が実在しています。このパブもタム・オ・シャンターの主⼈公、タムが⼊り浸って酔っ払っていたと⾔われる場所です。創業されたのは1749年だそう。
⼣⽅なので、とりあえずリアル・エールを1パイント注⽂することに。店内には、ローカルな常連のお客さんに加えて私のような観光客もいて、とてもフレンドリーな空気が流れています。⽇本⼈贔屓のスコットランド⼈ですから、こちらが⽇本⼈だとわかると、すぐに誰か話しかけてきてくれます。壁には、タム・オ・シャンターの⼀節が書かれていたり、古いこのインの写真が飾られていたりと、バーンズのファンなら間違いなく楽しめる場所ではないでしょうか。
パブの隣にはレストランも併設されていますから、お腹を空かせていくのも良いかもしれません。カウンターの隣に座ったご⽼⼈に勧められてもう2パイントも飲んでしまったので、酔い覚ましに駅⽅⾯に歩を進めます。駅前の“バーンズ・スクエア”に⽴つバーンズ像を横⽬に⾒ながらこの⽇はそのままB&Bに戻りました。
翌朝は、オーナーの旦那様、サイモンさんが⽤意してくれた、フル・スコティッシュ・ブレックファーストを堪能することから始まりました。
昨⽇とはうってかわって曇天で時々⼩⾬が降る少し肌寒い⽇となりましたが、オーナー夫妻に勧められたロバート・バーンズが⽣まれた場所にあるミュージアムを⽬指します。
エアから南に⾞で15分程⾏くと、バーンズの⽣家があるアロウエイと⾔う⼩さな村があります。途中、結構な⾬が降り始めましたが、通りかかった地元のゴルフ場には賑やかな声が響いていました。
バーンズの⽣家(Burns Cottage)でチケットを購⼊すると(チケット売り場のおじさんが笑顔でとても親切です)、ミュージアムやガーデンなど、関連施設全てに⼊場できるシステムです。
ここはナショナル・トラストが運営しているので、隅々までとても清潔で丁寧に管理されており、気持ちよく観光出来ます。バーンズを愛する⼈々が世界中から訪れる⼈気のスポットなので、朝のうちに⾏くことをお勧めします。
ミュージアムの裏のドアからは、バーンズ・モニュメントとガーデンのある⽅向へ抜けられます。バーンズの⽣家からは、気持ちのいい散歩コースが続き、気がついたら随分歩いていました。
ミュージアムを出て少し歩くと、アロウエイに廃墟になっている教会があります。酔っ払ったタムが⾺のメグに乗って通りがかり、悪魔が奏でるバグパイプの⾳で踊る魔⼥やウオーロック(男の魔法使い)を⾒かけてしまい、彼らに追いかけられることになる教会です。16世紀に建てられ、バーンズが詩を書いた時にはすでに今のような廃墟になっていたそうです。
なぜ追いかけられることになったかと⾔うと、若くて美しく、⾊っぽい魔⼥ナニーを⾒かけて、タムが思わず『カティー・サーク(短いシュミーズ)!』と、叫んでしまったから。タムはメグを⾛らせ、ドゥーン橋(Brig o’Doon)に急ぎます。魔⼥は橋のかかるドゥーン川を渡ることができないからです。結局、タムは逃げ延びることができましたが、⾺のメグは橋のたもとでナニーに掴まれ、尻尾を失ってしまいました。かわいそうなメグ!
グレンロイヤルの⾰はもともと⾺具に使われていた丈夫なもの。古来から⾺が愛されてきたこの地域で創業されたのにも何か所縁があるのかもしれません。バーンズの詩を巡らせながら時が経つのを忘れ、気が付けば帰路の⾶⾏機に間に合うかどうかギリギリの時間。ドゥーン橋とは反対の⽅向にあわてて⾞を⾛らせ、グラスゴー空港を⽬指しました。たった1⽇のショートトリップでしたが、エアという街のつきない魅⼒を垣間⾒ることができました。
ウォレス・タワーから南に数分歩くと、左側に“タム・オ・シャンター・イン”があります。藁葺き屋根が印象的なパブです。「タム・オ・シャンター(Tam O’Shanter) 」とは、バーンズが1792年に発表したスコットランドの魔⼥伝説に基づく詩。ロンドンのグリニッジにある帆船やウイスキーの名前で有名な「カティー・サーク(Cutty Sark)」は、スコットランド語で、詩に登場する若くて美しい魔⼥“ナニー”が来ていた下着(シュミーズ)のこと! ここを訪ねるまでその名の由来を知りませんでした。
エア周辺には、この“タム・オ・シャンター”に登場する場所が実在しています。このパブもタム・オ・シャンターの主⼈公、タムが⼊り浸って酔っ払っていたと⾔われる場所です。創業されたのは1749年だそう。
パブの隣にはレストランも併設されていますから、お腹を空かせていくのも良いかもしれません。カウンターの隣に座ったご⽼⼈に勧められてもう2パイントも飲んでしまったので、酔い覚ましに駅⽅⾯に歩を進めます。駅前の“バーンズ・スクエア”に⽴つバーンズ像を横⽬に⾒ながらこの⽇はそのままB&Bに戻りました。
翌朝は、オーナーの旦那様、サイモンさんが⽤意してくれた、フル・スコティッシュ・ブレックファーストを堪能することから始まりました。
エアから南に⾞で15分程⾏くと、バーンズの⽣家があるアロウエイと⾔う⼩さな村があります。途中、結構な⾬が降り始めましたが、通りかかった地元のゴルフ場には賑やかな声が響いていました。
ミュージアムの裏のドアからは、バーンズ・モニュメントとガーデンのある⽅向へ抜けられます。バーンズの⽣家からは、気持ちのいい散歩コースが続き、気がついたら随分歩いていました。
グレンロイヤルの⾰はもともと⾺具に使われていた丈夫なもの。古来から⾺が愛されてきたこの地域で創業されたのにも何か所縁があるのかもしれません。バーンズの詩を巡らせながら時が経つのを忘れ、気が付けば帰路の⾶⾏機に間に合うかどうかギリギリの時間。ドゥーン橋とは反対の⽅向にあわてて⾞を⾛らせ、グラスゴー空港を⽬指しました。たった1⽇のショートトリップでしたが、エアという街のつきない魅⼒を垣間⾒ることができました。