はじめまして。今回から、この「BRITISH MADE STORIES」にてコラムを連載させていただくことになったマクギネス真美です。
連載テーマは「ガーデニング」ということで、イギリス在住者の視点から、現代イギリスのガーデニング事情はもちろんのこと、イギリスで人気の花・植物・ハーブや、それらを使ったイギリス料理やお菓子、人気のイングリッシュ・ガーデン訪問など、幅広くお伝えしたいと思っています。
イギリスのカントリーサイドに出かけ、「パブリック・フットパス(Public Footpath)」と呼ばれる公共の散歩道を歩いていると、突然、このメドウに出会うことがあります。
目の前に広がる草原に一瞬息をのみ、風に揺れる草花の中にしゃがみ込んでみれば、まるで幼い頃に戻ったよう。自分も自然の一部なんだと感じられ、日本人のわたしですら、なんだか懐かしい気持ちになる場所です。
その人気のきっかけとなったひとつに2012年開催のロンドン五輪があります。実は、五輪会場となったオリンピックパークのメインスタジアムの周りには、「オリンピック・ゴールド・メドウ(Olympic Gold Meadow)」と名付けられた草原が作られていました。金色にちなんでカリフォルニアポピー、マリーゴールドなどがメインに植えられた美しい花畑は、オリンピック観衆の目をひきつけました。
このようにガーデニングの世界ではメドウを知らない人はいないほどなのですが、実際のメドウは、昔に比べてずいぶん減ってしまっているというのが現状です。イギリス内最大の自然保護チャリティー団体RSPBのリポートによれば、イングランドとウェールズ地域においては、1930年代から1984年までの間に、なんと97%ものメドウがなくなってしまったといいます。面積にして6万4000㎢。これにより、ワイルドフラワーや昆虫、蜂なども激減し、深刻な環境問題となっているのです。
また、2015年からは、7月の第一土曜日が「ナショナル・メドウズ・デイ(National Meadows Day)」とされ、もっと多くの人たちに、メドウの存在を知ってもらおうと、各地のメドウでイベントも行われるようになりました。イギリス内には、著名な園芸家でガーデン・ライターでもあった今は亡きクリストファー・ロイドが手がけた庭「グレート・ディクスター(Great Dixter)」や、チャールズ皇太子のプライベート・ガーデンである「ハイグローブ(High Grove)」など、世界的に有名な庭園でも、メドウを取り入れた場所がたくさんあります。読者の皆さんも、ぜひいつかイギリスのメドウを訪ねてみてくださいね。
連載テーマは「ガーデニング」ということで、イギリス在住者の視点から、現代イギリスのガーデニング事情はもちろんのこと、イギリスで人気の花・植物・ハーブや、それらを使ったイギリス料理やお菓子、人気のイングリッシュ・ガーデン訪問など、幅広くお伝えしたいと思っています。
ワイルドフラワーの咲くメドウは、イギリス人にとってガーデニングの原点なのかもしれません。
さて、今回ご紹介したいのは「メドウ(meadows)」です。メドウとは草原のこと。イギリス人が特に愛するのは、ゆらゆらとたゆたう草の合間に茎の細い朱色のポピーや青いヤグルマギク、鮮やかな黄色やオレンジ色の花が一面に広がるメドウです。イギリスのカントリーサイドに出かけ、「パブリック・フットパス(Public Footpath)」と呼ばれる公共の散歩道を歩いていると、突然、このメドウに出会うことがあります。
目の前に広がる草原に一瞬息をのみ、風に揺れる草花の中にしゃがみ込んでみれば、まるで幼い頃に戻ったよう。自分も自然の一部なんだと感じられ、日本人のわたしですら、なんだか懐かしい気持ちになる場所です。
メドウにも個性があり、季節や場所(土質)によって育つ植物はさまざまです。
日本では一般に「イングリッシュ・ガーデン」というと、自然の風景をモチーフに作られた庭をイメージする方が多いと思います。自宅の庭までもできるだけ自然の景色に近づけたいと願うイギリス人たちですから、まさに自然そのもののメドウを愛してやまないのもうなづけます。そして近年では、この草原を自分の庭に取り入れるのが人気となっているのです。その人気のきっかけとなったひとつに2012年開催のロンドン五輪があります。実は、五輪会場となったオリンピックパークのメインスタジアムの周りには、「オリンピック・ゴールド・メドウ(Olympic Gold Meadow)」と名付けられた草原が作られていました。金色にちなんでカリフォルニアポピー、マリーゴールドなどがメインに植えられた美しい花畑は、オリンピック観衆の目をひきつけました。
ロンドン五輪会場のガーデン・デザインはシェフィールド大学の教授たちを中心に行われました。
pictorialmeadows.co.ukのオンラインショップでは五輪会場のメドウと同じ種類の種(Sundance)の購入が可能です。
pictorialmeadows.co.ukのオンラインショップでは五輪会場のメドウと同じ種類の種(Sundance)の購入が可能です。
現在は「クイーン・エリザベス・オリンピック・パーク」として一般開放されている元ロンドン五輪会場は、現在も園内でメドウを見ることができます。
その後、ガーデナーの間ではメドウの人気はますます高まっているように感じます。自然が大好きで、ウォーキングが大好きなイギリス人。自分の庭に、いつもの散歩道で見かけるワイルドフラワーの咲く草原を再現することは、ガーデニング好きの人々にとっては究極の憧れなのでしょう。このようにガーデニングの世界ではメドウを知らない人はいないほどなのですが、実際のメドウは、昔に比べてずいぶん減ってしまっているというのが現状です。イギリス内最大の自然保護チャリティー団体RSPBのリポートによれば、イングランドとウェールズ地域においては、1930年代から1984年までの間に、なんと97%ものメドウがなくなってしまったといいます。面積にして6万4000㎢。これにより、ワイルドフラワーや昆虫、蜂なども激減し、深刻な環境問題となっているのです。
草原といっても、メドウを実現するにはたいへんな手間がかかっています。
とはいえ、そこは自然保護・環境問題に敏感なイギリス人のこと。RSPBをはじめとして、いくつかの団体により、イングリッシュ・メドウを守り、ワイルドフラワーを増やしていこう、という活動が起こっています。特に「Grow Wild」という国内でも最大規模のワイルドフラワー・キャンペーンでは、10万セットのワイルドフラワーの種をイギリス内の人々に無料で配布。ひとりでも多くの人にワイルドフラワーを育ててもらおうとしています(わたしもすでに2016年秋分の種を申し込みました!)。また、2015年からは、7月の第一土曜日が「ナショナル・メドウズ・デイ(National Meadows Day)」とされ、もっと多くの人たちに、メドウの存在を知ってもらおうと、各地のメドウでイベントも行われるようになりました。イギリス内には、著名な園芸家でガーデン・ライターでもあった今は亡きクリストファー・ロイドが手がけた庭「グレート・ディクスター(Great Dixter)」や、チャールズ皇太子のプライベート・ガーデンである「ハイグローブ(High Grove)」など、世界的に有名な庭園でも、メドウを取り入れた場所がたくさんあります。読者の皆さんも、ぜひいつかイギリスのメドウを訪ねてみてくださいね。
*RSPB ウェブサイト:http://www.rspb.org.uk/
*Grow Wild ウェブサイト:https://www.growwilduk.com/
*Great Dixter ウェブサイト:http://www.greatdixter.co.uk/
*High Grove ウェブサイト:https://www.highgrovegardens.com/
マクギネス真美
英国在住20年のライフコーチ、ライター。オンラインのコーチングセッションで、人生の転換期にある方が「本当に生きたい人生」を生きることを日本語でサポート。イギリスの暮らし、文化、食べ物などについて書籍、雑誌、ウェブマガジン等への寄稿、ラジオ番組への出演多数。
音声メディアVoicy「英国からの手紙『本当の自分で生きる ~ 明日はもっとやさしく、あたたかく』」にてイギリス情報発信中。
ロンドンで発行の情報誌『ニュースダイジェスト』にてコラム「英国の愛しきギャップを求めて」を連載中。
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