イギリスのクリスマスは、家族が集まり、プレゼントを交換しあったり、一緒にクリスマス・ディナーを食べたりする大切な日。日本のお正月にも似た、一年のうちで最も重大なイベントです。そのクリスマスに欠かせないものといえば、なんといってもクリスマス・ツリーでしょう。
ところが、1848年に「ザ・イラストレイテッド・ロンドン・ニュース」という新聞にヴィクトリア女王家族がツリーを囲んでクリスマスを祝っている絵が発表されました。それを見た人々が、王室の真似をするようになり、クリスマスにツリーを飾ることが中流階級の人々の間でも人気になったのです。
大きさや形もさまざまなので、お気に入りを選んで、枝が傷つかないようにネットをかけてもらい、持ち帰ります。
コロンビアロード・フラワーマーケット
http://www.columbiaroad.info
クリスマス・ツリーの下にはプレゼントがたくさん
クリスマス・ツリーを飾るのは元々ドイツの習慣から来ているそうです。それが一般のイギリス人家庭に広まったのは、ヴィクトリア女王とその夫であったドイツ出身のアルバート公の影響だといわれています。BBCによると、ヴィクトリア女王の母親もドイツ人だったため、ツリーをクリスマスに飾るという習慣はすでに王室の中では取り入れられていたといいます。とはいえ、19世紀前半まで、一般の人々にはほとんど知られていませんでした。ところが、1848年に「ザ・イラストレイテッド・ロンドン・ニュース」という新聞にヴィクトリア女王家族がツリーを囲んでクリスマスを祝っている絵が発表されました。それを見た人々が、王室の真似をするようになり、クリスマスにツリーを飾ることが中流階級の人々の間でも人気になったのです。
街中にツリーを見かけるイギリスの12月
そして今や、イギリスのクリスマスにツリーはなくてはならなものになりました。プラスチック製のツリーももちろんたくさん売られていますが、生木のツリーの人気もいまだ衰えてはいません。 クリスマス・ツリー販売中
12月に入ると、ガーデン・センターはもちろんのこと、スーパーや街角の小さな生鮮食品店でも生のクリスマス・ツリーを購入することができるようになります。大きさや形もさまざまなので、お気に入りを選んで、枝が傷つかないようにネットをかけてもらい、持ち帰ります。
枝ぶりのよいものを選んで
ツリーに飾るオーナメントを毎年少しずつ足していくのもクリスマスの楽しみ
イギリスクリスマス・ツリー栽培者協会(British Christmas Tree Growers Association)によると、生木(根が切ってあるもの)を購入する場合には、見た目が弱っていたり、乾燥していない、できるだけ新鮮なものを選ぶことが必須とあります。また、購入後は毎日十分な水やりを欠かさないようにとも。生きている木を室内に置いておくのですから、生花を飾る以上にたくさんの水が必要になるのは当然なのですね。 シンプルな飾りのツリーもまた美しい
また、リースも、イギリスのクリスマスを彩る重要なデコレーションです。昔はアイビーやホリー(柊)など、エバー・グリーンと呼ばれる植物をまとめたものが普通だったようですが、現在ではカラフルな色合いのものなど、バリエーションも豊かです。 中世の頃から「ポマンダー」と呼ばれる、柑橘類にスパイスの香りをつけたものが魔除け・病除けとして利用されてきました。それを新年に贈りあったりした名残で、クリスマスにオレンジやスパイスを飾るとも言われます。
エバー・グリーンは昔からクリスマスには欠かせないもの
さて、日本からこの季節にイギリスを訪れて、ツリーやリースを売っているところを見たいのでしたら、ロンドンの「コロンビアロード・フラワーマーケット」がおすすめです。 コロンビアロード・フラワーマーケットにて
カラフルなリースは見ているだけでも楽しい
ここは、毎週日曜日に切り花や鉢花を販売している花市場です。クリスマス前にはツリーやリースがところ狭しと並べられていて、それらを目当てにした人たちで普段以上に賑わっています。ツリーやリースを日本に持ち帰ることは難しいですが、マーケット周辺にはお土産によさそうなおしゃれな雑貨やアンティークなどを売るお店もたくさんあるので、ぜひ一度訪ねてみてはいかがでしょう。コロンビアロード・フラワーマーケット
http://www.columbiaroad.info
マクギネス真美
英国在住20年のライフコーチ、ライター。オンラインのコーチングセッションで、人生の転換期にある方が「本当に生きたい人生」を生きることを日本語でサポート。イギリスの暮らし、文化、食べ物などについて書籍、雑誌、ウェブマガジン等への寄稿、ラジオ番組への出演多数。
音声メディアVoicy「英国からの手紙『本当の自分で生きる ~ 明日はもっとやさしく、あたたかく』」にてイギリス情報発信中。
ロンドンで発行の情報誌『ニュースダイジェスト』にてコラム「英国の愛しきギャップを求めて」を連載中。
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