イギリスの家庭料理に欠かせないものといえばハーブです。肉料理、魚料理、スープやサラダ……ハーブはどのメニューにも必ずといっていいほど使われています。
ドライのものはもちろんのこと、生のハーブも大活躍。どこのスーパーに行っても、バジル、パセリ、コリアンダー、タイムなど、新鮮な生のハーブをひと束1ポンド程度で気軽に買うことができます。
キッチンの窓辺や庭でハーブを育てている人もたくさんいます。自分で育てた摘みたてのハーブを、ほんの少し料理に加えるだけで、格別のおいしさです。小さな鉢植えひとつでも、長期間楽しむことができるのもハーブの魅力です。
このように、イギリス人の暮らしに欠かせないハーブ。今回は、そんなハーブ好きのイギリス人たちが憧れるハーブ農園をご紹介します。
ハーブを多用することで知られるセレブリティ・シェフのジェイミー・オリバー氏から「イギリスにおけるハーブ界の女王」と名付けられたのが、ジェッカ・マクヴィカーさん。そのジェッカさんが手がける「ジェッカズ・ハーブ・ファーム(Jekka’s Herb Farm)」は、ロンドンから車で2時間半ほどのサウス・グロスターシャー州にあります。
4月になったとはいえ、まだコートが必要なほど肌寒い日でしたが、くねくねとしたカントリーサイドの道を人々が車で続々とやって来るのに驚きました。
ジェッカさんは、イギリス国内はもとより、海外でもハーブの講習を行ったり、テレビに出演したりと、ハーブ好きで知らない人はいないというくらい有名。ですから、このオープン・デイを待ちかねていた方も多かったのでしょう。
2013年には農園の敷地内にハーブ標本園を作り、300種類以上ものハーブ・コレクションを見やすく展示しています。そのすべてに名前(学名)や用途が記されていて、来場者たちはハーブについて学ぶことができます。そして、オープン・デイには、気に入ったハーブの苗を購入することもできるのです。
ハーブ園に育っているハーブの前に立ち、その植物の歴史や、どのように使われるのか、といったことをジョークを交えながら楽しく話してくれます。
ジェッカさんがハーブについて興味を持ったのは料理がきっかけだったそうです。もともと、お母さん、そしてお祖母さんもいつも料理にハーブを使っていたので、ご自身も当然のようにハーブを料理に使うようになったのだとか。
「自分の料理に使うので、ハーブは常に育てていました。それがあるとき、知り合いに、エリザベス・デーヴィッド(注:20世紀のイギリス料理界に影響を与えたフードライター、料理研究家)が紹介したチキンとタラゴンのレシピを作りたいから、タラゴンを育ててほしい、と頼まれたのです。」
当時はお子さんたちが幼くて家を離れるられないので、外に働きにでることは難しかった。でも、ハーブを育てることなら家でできるから、と引き受けたのだそうです。
その後、ハーブ販売の仕事はどんどん広がり、最初の顧客リストには有名デパートのフォートナム&メイソンも名を連ねていたといいます。
「あとはスープ。玉ねぎとジャガイモを調理して、そこにハーブを加えればスープのできあがり。たいていのハーブはスープに合います。」
新鮮で、かつ予算も安くすむスープは最高のハーブ・レシピのひとつだとジェッカさんはおっしゃいます。
ハーブ栽培とハーブガーデン・デザインについての講習をはじめとする後進の指導や、世界各地での講演など、多忙を極めるジェッカさん。それでも毎日、ご自身で料理をしているそうです。
「毎日ですか?」と聞くと「そう、毎日です。もちろん必ずハーブを使っています。」とのこと。
皆さんもぜひイギリス人にならって、ハーブをひと鉢育ててみてはいかがでしょう。それをほんのすこし料理に取り入れれば、食卓にイギリスの香りが漂うかもしれませんよ。
Jekka’s Herb Farmウェブサイト:www.jekkasherbfarm.com
ドライのものはもちろんのこと、生のハーブも大活躍。どこのスーパーに行っても、バジル、パセリ、コリアンダー、タイムなど、新鮮な生のハーブをひと束1ポンド程度で気軽に買うことができます。
キッチンの窓辺や庭でハーブを育てている人もたくさんいます。自分で育てた摘みたてのハーブを、ほんの少し料理に加えるだけで、格別のおいしさです。小さな鉢植えひとつでも、長期間楽しむことができるのもハーブの魅力です。
このように、イギリス人の暮らしに欠かせないハーブ。今回は、そんなハーブ好きのイギリス人たちが憧れるハーブ農園をご紹介します。
ハーブを多用することで知られるセレブリティ・シェフのジェイミー・オリバー氏から「イギリスにおけるハーブ界の女王」と名付けられたのが、ジェッカ・マクヴィカーさん。そのジェッカさんが手がける「ジェッカズ・ハーブ・ファーム(Jekka’s Herb Farm)」は、ロンドンから車で2時間半ほどのサウス・グロスターシャー州にあります。
ハーブについての歴史や効用をレクチャーしてくれるジェッカさん
「オープン・デイ」として農園の中に設けられたハーブ標本園(Herbetum)を一般公開するのは、4月から9月までの間、月に2日ずつ。今年最初のオープン・デイにでかけてきました。4月になったとはいえ、まだコートが必要なほど肌寒い日でしたが、くねくねとしたカントリーサイドの道を人々が車で続々とやって来るのに驚きました。
ジェッカさんは、イギリス国内はもとより、海外でもハーブの講習を行ったり、テレビに出演したりと、ハーブ好きで知らない人はいないというくらい有名。ですから、このオープン・デイを待ちかねていた方も多かったのでしょう。
オープン・デイには農園で育てられた苗を購入することが可能
彼女がハーブのビジネスを始めたのは1984年。その後、1987年にこの場所に移り、以降、オーガニック・ハーブの卸販売や、ハーブ・ガーデンのデザインなど、ハーブ関連の仕事を30年以上続けてきました。2013年には農園の敷地内にハーブ標本園を作り、300種類以上ものハーブ・コレクションを見やすく展示しています。そのすべてに名前(学名)や用途が記されていて、来場者たちはハーブについて学ぶことができます。そして、オープン・デイには、気に入ったハーブの苗を購入することもできるのです。
ジェッカさんの名前がついたハーブもいくつか
この日はジェッカさん自らこのハーブ標本園を案内してくれるミニツアーも開催されました。ハーブ園に育っているハーブの前に立ち、その植物の歴史や、どのように使われるのか、といったことをジョークを交えながら楽しく話してくれます。
蜂が集まるハーブも多く、園内には養蜂箱があり、蜂蜜の販売もしている
「試してみませんか」と手渡された葉っぱは、なんとグラニー・スミスという青リンゴの味がします。葉っぱを食べた見学者たちは皆、顔を見合わせてにっこり。このソロル(Buckler leaf sorrel)というハーブはサラダにいれるとよいとのことで、わたしもさっそく苗を購入しました。 青リンゴの味がするハーブ。サラダにいれるのがおすすめ
さて、30分ほどのツアーを終えた後、ジェッカさんにインタビューさせていただきました。ジェッカさんがハーブについて興味を持ったのは料理がきっかけだったそうです。もともと、お母さん、そしてお祖母さんもいつも料理にハーブを使っていたので、ご自身も当然のようにハーブを料理に使うようになったのだとか。
「自分の料理に使うので、ハーブは常に育てていました。それがあるとき、知り合いに、エリザベス・デーヴィッド(注:20世紀のイギリス料理界に影響を与えたフードライター、料理研究家)が紹介したチキンとタラゴンのレシピを作りたいから、タラゴンを育ててほしい、と頼まれたのです。」
当時はお子さんたちが幼くて家を離れるられないので、外に働きにでることは難しかった。でも、ハーブを育てることなら家でできるから、と引き受けたのだそうです。
その後、ハーブ販売の仕事はどんどん広がり、最初の顧客リストには有名デパートのフォートナム&メイソンも名を連ねていたといいます。
来訪者たちは皆、たくさんのハーブ苗を購入していく
「ハーブをあまり使ったことのない方におすすめの料理法はありますか。」と聞くと「サラダが一番です。」との答え。確かにサラダなら葉っぱをちぎっていれるだけですから、簡単で、かつハーブの香りや味わいもひきたちます。「あとはスープ。玉ねぎとジャガイモを調理して、そこにハーブを加えればスープのできあがり。たいていのハーブはスープに合います。」
新鮮で、かつ予算も安くすむスープは最高のハーブ・レシピのひとつだとジェッカさんはおっしゃいます。
ハーブ栽培とハーブガーデン・デザインについての講習をはじめとする後進の指導や、世界各地での講演など、多忙を極めるジェッカさん。それでも毎日、ご自身で料理をしているそうです。
「毎日ですか?」と聞くと「そう、毎日です。もちろん必ずハーブを使っています。」とのこと。
ファーム内にある小さなカフェの横ではハーブの種や本の販売も
「ハーブは大昔から、食用そして薬用にと利用されてきた植物です。歴史があり、そして人々の生活に密着しているもの。だからこんなにも惹かれるのでしょう。」何度もインタビューを受けてきているにもかかわらず、ハーブに対する思いを丁寧に語ってくださったジェッカさん。その情熱が、イギリスのハーブ・ファンを増やすことに大きく貢献してきたことは間違いありません。皆さんもぜひイギリス人にならって、ハーブをひと鉢育ててみてはいかがでしょう。それをほんのすこし料理に取り入れれば、食卓にイギリスの香りが漂うかもしれませんよ。
Jekka’s Herb Farmウェブサイト:www.jekkasherbfarm.com
ミリオンセラーとなったジェッカさんの著書。ほかにも多くの著作があり、日本でも翻訳本が出版されている
マクギネス真美
英国在住20年のライフコーチ、ライター。オンラインのコーチングセッションで、人生の転換期にある方が「本当に生きたい人生」を生きることを日本語でサポート。イギリスの暮らし、文化、食べ物などについて書籍、雑誌、ウェブマガジン等への寄稿、ラジオ番組への出演多数。
音声メディアVoicy「英国からの手紙『本当の自分で生きる ~ 明日はもっとやさしく、あたたかく』」にてイギリス情報発信中。
ロンドンで発行の情報誌『ニュースダイジェスト』にてコラム「英国の愛しきギャップを求めて」を連載中。
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