3月に入った途端、イギリスに大寒波がやってきました。全国各地で積雪に見舞われたため、交通が麻痺したり、雪ごもりに備えて人々が食品を買いに押しかけて、スーパーの棚から牛乳や食パンが消えた、といったニュースが伝えられました。
一方で、大人も子供もソリ遊びをしたり、イグルー(かまくら)や雪だるまを作ったりと、めったにない大雪を、全力で(!)楽しむことも忘れないのがイギリスの人々。私ももちろん、真っ白に覆われた庭に出て、雪だるまを作りましたよ。
ところで、この寒波には ‘東からの獣(Beast from the East)’というあだ名がつけられました。確かに「獣」と呼ぶにふさわしい荒々しい吹雪と寒さでしたが、イギリスにはもともと‘If March comes in like a lion, it will go out like a lamb.’ということわざがあります。
これは「3月がライオンのようにやって来たら、子羊のように出て行く」つまり「3月のはじめに天気が荒れていたら、月末には穏やかな気候になっている」といった意味。この言葉を信じるなら、イースターの頃には過ごしやすいお天気になっているはずと、人々は温かい春の到来を楽しみにしています。
さて、イースターについては、日本ではあまり馴染みがないかもしれませんね。これは、イエス・キリストが、十字架にかけらた三日後に復活したことを祝うもので、イギリス国内ではクリスマスと同様(またはそれ以上)に重要な祭日と考えられています。
「春分の日のあとの最初の満月から数えて最初の日曜日」と定められているため、毎年日にちが変わります。今年は4月1日の日曜日がイースター・サンデー。その2日前の金曜日はグッド・フライデー、イースター・サンデーの後の月曜日はイースター・マンデーと呼ばれる祝日となっています。週末をはさんで連休になるため、日本のゴールデン・ウィークのようなイメージです。
そして、イギリスの子供たちが楽しみにしているのが、庭でのイースター・エッグ(チョコ)・ハント。これは、イースター・バニーと呼ばれるウサギが、イースター・サンデーの前夜に庭に隠していった卵を、翌日、家族みんなで探すという遊び。庭に咲く草花の根元や植木鉢の横などに、カラフルな卵がひょっこりと見つかるのですから、幼い子たちの興奮ぶりは大変なものです。
ところで、エッグ・ハントの習慣については、ドイツからもたらされたと言われています。一説には、古典学者で詩人でもあったアルフレッド・エドワード・ハウスマンが、1892年にロンドン大学でのラテン語の授業の際にドイツでのこの習慣を学生たちに紹介したのが最初と言われていますが、イギリスで現在のようにイースター・エッグ・ハントが盛んになったのは、20世紀以降のことでしょう。
近頃では、各家庭のガーデンで楽しむだけでなく、公園や森林などでエッグ・ハントのイベントを開催するところもあります。特に人気なのは、イギリス人が大好きなキャドバリーというチョコレート・メーカーと、イギリスの景観や歴史的建築物の保護に尽力しているチャリティ団体、ナショナル・トラストがパートナーを組んで開催される「キャドバリー・イースター・エッグ・ハント(Cadbury Easter Egg Hunt)」。これは、イギリス各地にあるナショナル・トラスト管理下にある庭園や森林などで、イースターの期間中開催されます。入場料と別にエッグ・ハントへの参加料が必要ですが、観光客でも気軽に参加できるので、春の一大イベントを楽しむにはぴったりです。
*イギリス各地のナショナル・トラストにて開催されるイースター・エッグ・ハント
Join the Cadbury Easter Egg Hunts
一方で、大人も子供もソリ遊びをしたり、イグルー(かまくら)や雪だるまを作ったりと、めったにない大雪を、全力で(!)楽しむことも忘れないのがイギリスの人々。私ももちろん、真っ白に覆われた庭に出て、雪だるまを作りましたよ。
ところで、この寒波には ‘東からの獣(Beast from the East)’というあだ名がつけられました。確かに「獣」と呼ぶにふさわしい荒々しい吹雪と寒さでしたが、イギリスにはもともと‘If March comes in like a lion, it will go out like a lamb.’ということわざがあります。
これは「3月がライオンのようにやって来たら、子羊のように出て行く」つまり「3月のはじめに天気が荒れていたら、月末には穏やかな気候になっている」といった意味。この言葉を信じるなら、イースターの頃には過ごしやすいお天気になっているはずと、人々は温かい春の到来を楽しみにしています。
さて、イースターについては、日本ではあまり馴染みがないかもしれませんね。これは、イエス・キリストが、十字架にかけらた三日後に復活したことを祝うもので、イギリス国内ではクリスマスと同様(またはそれ以上)に重要な祭日と考えられています。
「春分の日のあとの最初の満月から数えて最初の日曜日」と定められているため、毎年日にちが変わります。今年は4月1日の日曜日がイースター・サンデー。その2日前の金曜日はグッド・フライデー、イースター・サンデーの後の月曜日はイースター・マンデーと呼ばれる祝日となっています。週末をはさんで連休になるため、日本のゴールデン・ウィークのようなイメージです。
イースターの時期には子羊たちの愛らしい姿を見かけることができるはず
イースターには、春の訪れと生命の誕生を祝う象徴として「イースター・エッグ」がつきもの。元は卵をカラフルに彩色して、イースターのデコレーションにするという風習ですが、最近では、イースター・エッグは卵型をしたチョコレートというのが、イギリスの定番です。そして、イギリスの子供たちが楽しみにしているのが、庭でのイースター・エッグ(チョコ)・ハント。これは、イースター・バニーと呼ばれるウサギが、イースター・サンデーの前夜に庭に隠していった卵を、翌日、家族みんなで探すという遊び。庭に咲く草花の根元や植木鉢の横などに、カラフルな卵がひょっこりと見つかるのですから、幼い子たちの興奮ぶりは大変なものです。
庭のあちこちに、イースター・バニーが残していった卵型のチョコレートが
中にはイースター・バニーの形をしたチョコレートもある
庭中探して見つけたたくさんの卵
寒くて雨の多い冬の間、庭で遊ぶ機会がほとんどなかった子供たちにとっては、長かった冬を越え、ようやく庭で駆け回ることができるようになるのがこの時期。そこでは、秋に球根を植えたラッパ水仙や、たんぽぽなどの野の花が春の日差しに照らされて、まさに眠っていた庭が蘇ったという感じがします。ところで、エッグ・ハントの習慣については、ドイツからもたらされたと言われています。一説には、古典学者で詩人でもあったアルフレッド・エドワード・ハウスマンが、1892年にロンドン大学でのラテン語の授業の際にドイツでのこの習慣を学生たちに紹介したのが最初と言われていますが、イギリスで現在のようにイースター・エッグ・ハントが盛んになったのは、20世紀以降のことでしょう。
近頃では、各家庭のガーデンで楽しむだけでなく、公園や森林などでエッグ・ハントのイベントを開催するところもあります。特に人気なのは、イギリス人が大好きなキャドバリーというチョコレート・メーカーと、イギリスの景観や歴史的建築物の保護に尽力しているチャリティ団体、ナショナル・トラストがパートナーを組んで開催される「キャドバリー・イースター・エッグ・ハント(Cadbury Easter Egg Hunt)」。これは、イギリス各地にあるナショナル・トラスト管理下にある庭園や森林などで、イースターの期間中開催されます。入場料と別にエッグ・ハントへの参加料が必要ですが、観光客でも気軽に参加できるので、春の一大イベントを楽しむにはぴったりです。
キャドバリー・イースター・エッグ・ハントでは、広々としたガーデンでのエッグ・ハントが楽しめる
© RACOON LONDON (写真提供:National Trust)
© RACOON LONDON (写真提供:National Trust)
キャドバリーは現在ではアメリカの資本となってるが、1824年にイギリスのバーミンガムで創業。1875年にチョコレートのイースター・エッグを発売開始した老舗チョコレート・メーカー。よく目立つ紫色がイメージカラー
© RACOON LONDON (写真提供:National Trust)
開催場所については、下記のウェブサイトからご確認くださいね。© RACOON LONDON (写真提供:National Trust)
*イギリス各地のナショナル・トラストにて開催されるイースター・エッグ・ハント
Join the Cadbury Easter Egg Hunts
マクギネス真美
英国在住20年のライフコーチ、ライター。オンラインのコーチングセッションで、人生の転換期にある方が「本当に生きたい人生」を生きることを日本語でサポート。イギリスの暮らし、文化、食べ物などについて書籍、雑誌、ウェブマガジン等への寄稿、ラジオ番組への出演多数。
音声メディアVoicy「英国からの手紙『本当の自分で生きる ~ 明日はもっとやさしく、あたたかく』」にてイギリス情報発信中。
ロンドンで発行の情報誌『ニュースダイジェスト』にてコラム「英国の愛しきギャップを求めて」を連載中。
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