外壁にフェアリーライトと呼ばれる電飾を施す家も増え、イギリスは町中がクリスマスを迎える準備に忙しくなります。初めてこの地でクリスマスを過ごしたときには、イギリスのクリスマスは日本のものとはずいぶん違うのだと感じました。それは、きらびやかで華やかな人工のクリスマスデコレーションがたくさんある一方で、植物もイギリスのクリスマスに重要な役割を果たしているのを目にしたからかもしれません。今日は、そんな、イギリスのクリスマスに欠かせない植物をご紹介したいと思います。
クリスマスツリー(Christmas Tree)
この時期にだけ、特別にツリーを売る露店のようなものも登場しますし、ロンドンのフラワーマーケットや、ガーデンセンターなどでもたくさんのツリーが販売されます。また、スーパーでも大小さまざまな生木のクリスマスツリーを購入することが可能です。ツリーの品種はいくつかありますが、‘Nordmann Fir’はポピュラーなもののひとつです。
クリスマス・ツリーを飾るのは元々ドイツの習慣から来ているそうです。それが一般のイギリス人家庭に広まったのは、ヴィクトリア女王とその夫であったドイツ出身のアルバート公の影響だといわれています。(以前の関連記事はこちらから)
ヤドリギ(Mistletoe)
イギリスに自生するのは‘Viscum albums’という品種で、まさにクリスマスの時期に、高木の上の方の枝に、まるで鳥の巣のようにからまって育っています。また、イギリス国内によく植えられているリンゴの木にも生えていることがよくあります。
半透明の白い実が愛らしいのですが、ヤドリギには雌雄があるので、実がついているのは雌のほうだけです。この実は触るとベトベトするので、取り扱いには注意が必要です。イギリスでは、枝をいくつかリボンで結んで、部屋の入り口やシャンデリアの下などに吊るして飾っておきます。
北欧神話では愛と友情を意味するなど、ヤドリギの下でキスをするいわれは色々あり、オリジナルの起源は限定できないようですが、この習慣はすでに18世紀ころにはあったそうです。とくにヴィクトリア時代には人々の間でとてもポピュラーになった行為だといいます。
ヒイラギ(Holly)
ロンドンのコロンビアロード・フラワーマーケットなどでは、ヒイラギで作ったクリスマスリースが売られていることがあります。ヒイラギだけで作ったリースというのは、もとはアメリカから来たもので、それが素敵なので、イギリスでも真似するようになったのだとか。だから人によっては「ヒイラギのリースはイギリスらしくない。」なんて言う人もいます(!?)。
アイビー(Ivy)
常緑樹(エバーグリーン)は、木や草がすべて息をとめてしまったかに見える冬の寒い時期に、ちゃんと息づいているものがあることを伝えてくれる、大切な存在。歴史的には、クリスマスよりもずっと前から冬のお祭りに使われたり、家に飾られたりしてきました。
イギリス人たちのしているように、庭や近くの森、野原で採集してくるというわけにはいかないかもしれませんが、ご紹介した植物は、日本でも入手することが可能なものばかりです。今年はあなたの家でも、イギリス流の植物を使ったクリスマス飾りをしてみてはいかがでしょう。
そして、今年も楽しいクリスマスをお迎えくださいね。Happy Christmas!
クリスマスを迎えるこの時期のイギリスは、空の色までマジカルだ。
マクギネス真美
英国在住20年のライフコーチ、ライター。オンラインのコーチングセッションで、人生の転換期にある方が「本当に生きたい人生」を生きることを日本語でサポート。イギリスの暮らし、文化、食べ物などについて書籍、雑誌、ウェブマガジン等への寄稿、ラジオ番組への出演多数。
音声メディアVoicy「英国からの手紙『本当の自分で生きる ~ 明日はもっとやさしく、あたたかく』」にてイギリス情報発信中。
ロンドンで発行の情報誌『ニュースダイジェスト』にてコラム「英国の愛しきギャップを求めて」を連載中。
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