2021年にスタートしたブリティッシュメイド オリジナルコレクション。これまでシャツ、コートをリリースし、いずれも早々に完売→再入荷を繰り返して大好評をいただいています。そして今季、第3シリーズとしてパンツが完成!これまでと同様、監修役にスタイリスト四方章敬さんを迎え、英国にルーツをもつアイテムを現代的に再構築しました。今回のテーマは「最高のベーシックを突き詰める」。ビジネスにも休日にも幅広く活用できる“今、ちょうどいい”バランス、細部まで作り込んだ本格仕立て、そして上質さとコストパフォーマンスにも注力しました。四方さんの解説も交えて、そのこだわりをご紹介しましょう。
60年代の英国海軍パンツをドレス仕立てにアップグレード
ブリティシュメイド オリジナルパンツ「ポーツマス」 ¥29,700(税込)
「ポーツマス」と名づけた本作は、1960年代のロイヤルネイビー(英国海軍)で採用されていたオフィサーパンツに着想を得て生まれました。このモチーフを選んだ理由について、四方さんは次のように話します。
「最高のベーシックパンツというテーマを最初に決めていたので、今回はウールのグレースラックスを作ろうという思いがまずありました。とはいえ、普通のドレスパンツではちょっとヒネリがない。そこでイギリスのヴィンテージを色々とリサーチして、60年代のオフィサーパンツに出会ったんです。もともとは白のコットンドリルで作られているのですが、英国らしく2インプリーツ仕様で、シルエットは太すぎず細すぎずの微テーパード。ドレス感もスポーティ感も兼備したバランスが絶妙で、これをグレーウール素材に置き換えて細部をアレンジしたら、今の時代にちょうどいいパンツができるのではと思い立ちました。一見クラシックに見えますが、もとがミリタリーパンツだけにカジュアル使いにも無理なく対応できるのがポイントです。試作サンプルが上がってきたときには“これだ!”と思いましたね」(四方さん)
イタリア・VBCの名作ファブリックをチョイス
ファブリックは現在、世界でトップクラスの人気を博す名門「ヴィターレ・バルべリス・カノニコ」(VBC)からチョイスしました。
「イタリアの生地ブランドですが、オーナーが英国好きということもあり、ハリコシに優れ色出しもシックなブリティッシュテイストのコレクションが充実しています。今回は『ラスティック トロピカル』という生地からミディアムグレイをセレクトしました。ベタっとした無地ではなく、メランジがかった色みが特徴的です。ざっくりとした表情豊かな織りともあいまって、ドレッシーすぎないところが選びの決め手になりました。強撚糸とよばれる、紡績段階で強くツイストさせた糸を使っているため、シワに強く通気性に優れているのも魅力です。ちなみにこの生地、ウールの原毛にも深いこだわりが。近年、オーダースーツ業界で非常に高い評価を受ける『21マイクロンウール』という素材を使用しています。ウール原毛は細いほどよいというのが常識ですが、こちらは太いのにスーパーファインウールなみのしなやかさも備えた革命的な素材。つまり、耐久性やハリコシと上質な肌触りを原料の段階から両立しているのです。以前、この素材で仕立てられたスーツを雑誌でスタイリングしたことがありますが、素晴らしい仕立て映えでした」(四方さん)
仕立てはとことん“本格”を追求
モチーフとしたオフィサーパンツはミリタリーものゆえ簡素な作りでしたが、「ポーツマス」は上質さを追求するため、本格的ドレスパンツの仕立てで作りました。大きな特徴のひとつが、ウエスト内側の構造。マーベルトと呼ばれる内布を取り付け、さらにプリーツを入れた高級ドレスパンツ仕立てを採用しています。これにより、かがんだときにタックインしたシャツがはみ出しにくくなったり、可動性がアップして着用感がよくなったりするメリットが生まれます。ウエストバンドの内部には芯地も仕込んでいるため、腰周りへ立体的にフィットし、見た目の美しさにも貢献してくれます。
ドレスにもカジュアルにも振れる万能シルエットに
シルエットはヴィンテージのムードを活かしつつ、より現代的にはきやすく、美しいラインを描くようモディファイ。
「ワタリにゆとりをもたせつつ、裾はほんの少しだけテーパードさせています。グレーパンツはあらゆるブランドが展開しているだけに、ほかにはない独自性を出せるよう意識しました。スタイリストとして数多くのグレーパンツを見てきましたが、ドレスブランドのものはビジネス感の強い細身シルエットが多く、カジュアルブランドのものはテーパードがキツすぎたりワイドすぎたりして着こなしが難しい。そこで、両者の中間を狙ったバランスに設定しました。ありそうでないシルエットで、ジャケットからTシャツまで幅広く合わせられますよ」(四方さん)
ウエスト周りのデザインも、細部までこだわり満載
ブリティッシュなベルトレス、2インプリーツというデザインはヴィンテージのオフィサーパンツを踏襲しつつ、より上品&モダンに映るようアレンジを施しています。
「ヴィンテージのオフィサーパンツはウエストバンドがかなり太く、カジュアルな印象が強かったので、やや細めにしてスッキリと仕上げました。加えて、サイドアジャスターの位置もやや背中寄りに変更しています。フロントはボタン留めからファスナーに。フライ(ファスナーを覆っている部分)の幅もヴィンテージより狭めて、ドレスパンツの顔つきに近づけました。あとは細かいことですが、一般的なドレスパンツではプリーツの上端を縫い閉じるところをあえて留めず、プリーツがふんわりとカーブする優雅な雰囲気にしているのもこだわりです」(四方さん)
後ろ姿にも本格仕立てを盛り込んで
自分では気づきにくいですが、後ろ姿もパンツの美しさを左右する重要ポイント。ここも妥協なく作り込みました。ヒップ周りがダブつかないようパターンを工夫しつつ、左右にダーツをとることで美しいフォルムを作っています。また、後ろ側のウエスト周りに“いせ込み”とよばれる立体仕立てを取り入れ、さらにウエストバンドの背面中央にはV字のスリットを入れることで、フィット感を高める構造になっています。
ポケットの玉縁仕上げは手縫い!
ヴィンテージのオフィサーパンツにはなかったヒップポケットを追加。ドレスパンツらしい両玉縁仕上げを採用していますが、ここでは“細さ”にこだわりました。縁の幅を細く仕上げるほど繊細で高級感のある雰囲気になるため、3㎜の極細仕上げに。ミシンで縫うことは不可能なため、手縫いで作っています。
「今回、生産は日本有数のパンツファクトリーである『長野アルプス』社にお願いしました。本格仕立ての高級ドレスパンツに特化しているため、非常に高い技術力を備えています。手縫いによる玉縁仕上げのほかにも、生産工程の要所要所でアイロンワークを効かせながら作るなど、手仕事が随所に盛り込まれているんです」(四方さん)
凝ったアジャスターはヴィンテージ譲り
サイドアジャスターは内側に取り付けたボタンでウエストを調節する凝った作り。これはヴィンテージのオフィサーパンツにならったものです。一般的な尾錠留めは動いているうちに緩んでしまうこともありますが、ボタン留めならきっちり固定できるという機能性も備えています。ちなみに、左右合わせて最大5㎝ウエストを調節可能。前述のとおり、アジャスター位置はやや背中寄りにしていますが、腰骨に当たって窮屈に感じないよう慎重に吟味して設定しました。金具はヴィンテージテイストなブラスカラーのものをセレクト。
四方さんが実践、「ポーツマス」の着回しスタイリング
ロングコートと合わせてもバランス良好
コート:BRITISH MADE ー タイロッケンコート「ヨークシャー」
ボトムス:BRITISH MADE ー オフィサーパンツ「ポーツマス」
シューズ:Drake’s ー Crosby Moc-Toe Chukka Boot
ボトムス:BRITISH MADE ー オフィサーパンツ「ポーツマス」
シューズ:Drake’s ー Crosby Moc-Toe Chukka Boot
「この『ポーツマス』はコーディネートの幅広さに加えて、年間通して着られる汎用性も意識して作りました。春夏シーズンにリリースするものですが、目付け240g/mと程よいウェイトのため、まだ寒さが残る季節から活用していただけると思います。ここではコートを羽織っていますが、パンツが太すぎず細すぎずのシルエットですので、丈の長いトップスと合わせてもボテっと見えません」(四方さん)
ジャケットと合わせればビジネスシーンにも活躍
シャツ:BRITISH MADE ー ドレスシャツ「ロンドン」
ボトムス:BRITISH MADE ー オフィサーパンツ「ポーツマス」
シューズ:JOSEPH CHEANEY ー FORESTER 2R
ボトムス:BRITISH MADE ー オフィサーパンツ「ポーツマス」
シューズ:JOSEPH CHEANEY ー FORESTER 2R
「上質なドレス仕立てにこだわっていますので、テーラードジャケットにも違和感なくコーディネートできます。ベルトレス&2インプリーツが格式ある印象を演出してくれますね。ドレスブランドのパンツに比べると少しだけシルエットにゆとりがあるので、ベーシックでありながら変化の効いた雰囲気にも見えると思います。ビジネスシーンでも是非活用していただきたいですね」(四方さん)
程よいリラックス感でカジュアルスタイルにも好適
「普通のグレースラックスだとビジネス感が強く、カジュアル使いがしにくいものですが、『ポーツマス』はミリタリー由来なのでカタく見えすぎないのが特徴。カジュアルのリラックス感をキープしつつ、品よくスタイリングできます。シャツ一枚でサラッと着たとき、薄味に見えないところもポイントですね。サマーニットやTシャツなどにもよく合いますので、夏場まで着回せますよ」(四方さん)
「最高のベーシックパンツ」という高難度なテーマを掲げ、四方さん&ブリティッシュメイドが力を尽くして完成させた「ポーツマス」。クオリティと並んで強く意識したのは、コストパフォーマンスだったと四方さんは話します。
「優れたベーシックアイテムとは、多くの人に愛されてこそ成立すると考えています。なので、少しでも手が届きやすいものにしたいという思いは製作当初から感じていました。『ポーツマス』は名門インポート生地を使い、超実力派ファクトリーで仕立てて2万円台というプライスに設定しましたが、詳しい方からすると“この仕様でこの価格は安すぎじゃないの?”という感じだそうです(苦笑)。今回もさんざんワガママを言って細かなリクエストをさせていただきましたが、製作に携わっていただいた関係各社の皆様に大きなご協力をいただいて、クオリティ・汎用性・独自性・コストパフォーマンスをすべて兼備した一本を世に送り出すことができました。店頭でご試着いただければ、既存グレーパンツとの違いを感じていただけると思います」(四方さん)
実は今回も滑り出し大好調で、早くも品薄ぎみ。是非、お早めにチェックを!
スタイリスト四方章敬監修 ブリティッシュメイドオリジナルコートが完成
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