スタイリスト四方章敬さん監修のブリティッシュメイド オリジナルコレクションから、今季の新モデルが登場! 近年市民権を得つつある、シャツのように軽いジャケット=“シャケット”を製作しました。 しかも、こちらは珍しいスタンドカラー。 「せっかく新作を作るなら、あまりほかのブランドでは手に入らないアイテムにしたい。 そう思案の末、考案したデザインです。 見慣れないアイテムなのでとっつきにくく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、そこはご心配なく。 スタイリストとしての経験値をフル動員して、簡単に着こなしがサマになるようシルエットやディテールを作り込みました。秋の羽織りものとして、とても重宝するはずです」と四方さんは話します。 今回も語りどころ満載の力作、その全貌を明らかにします。
1940年代の英国ワークジャケットをモダナイズ
「マンチェスター」と名づけたこちらのシャケットは、1940年代にイギリスで着用されていたワークジャケットからインスピレーションを得てデザインしたもの。 ただし、原型はかなりクセが強く着こなしが難しいため、現代のスタイルによりフィットさせるよう様々なアレンジを行いました。
「まず、シルエットにこだわりました。 第一のポイントは肩の傾斜。やや“なで肩”ぎみに角度をつけることで、肩から袖にかけて流れるようにつながるラインを意識しています。 第二に、身幅や袖幅のバランス。古着の場合は過剰にブカブカだったり、妙に細かったりするものも多いので、『マンチェスター』は“細すぎず、太すぎず”を追求しています。 それから着丈もポイントですね。近年は多くのシャケットがお店に並んでいますが、ちょうどいい着丈のものを探すのが意外と難しい。 Tシャツやニットの上から羽織ったとき、インナーに対してシャケットの丈が短すぎたり長すぎたりするものが多いんです。 スタイリストとして、そのあたりに常々不満を感じていたので、インナーとのバランスを特に意識してデザインしました」 (四方さん)
さらにディテールも四方さんならではのモディファイが光ります。
「襟・袖・背中については後ほどご紹介しますが、ポケット周りも原型からかなり変更しています。 左右の胸ポケットは片側のみ内側に付けていますが、これはワークテイストをイメージしたもの。 そして向かって左側の腰部分には、パッチポケットの下へ重ねるようにしてチェンジポケットをあしらいました。 これはイギリスのテーラードジャケットに時折見られる仕様を意識しています。 ちなみにボタンはワーク調の猫目デザイン。 素材は“タグアヤシ”という木の種子です。 年月を経ると色みが変わってくるので、エイジングの楽しみも盛り込みました」 (四方さん)
“ドレープ性”で選んだサキソニー生地
「マンチェスター」が採用したのは、スーツ生地としても有名なサキソニー。 スーパー120’sの繊細なウールにポリウレタンを1%混紡することで、高級感とストレッチ性を両立した素材です。
「これまでのアイテムもそうなのですが、ブリティッシュメイド オリジナルコレクションでは“上品さ”をひとつの柱にしています。 『マンチェスター』はルーツがワークなので、生地はウールを載せようと最初からイメージしていました。 いろいろと素材見本を吟味しつつ最終的にこちらを選んだのは、ドレープの美しさ。 『マンチェスター』は着心地が軽いシャツ仕立てなうえ、シルエットにはゆとりをもたせていますから、生地のドレープ性は非常に重要です。 硬すぎる生地だとモッサリ見えてしまいますし、かといってペラペラだと貧相。 その点、こちらのサキソニーは理想的なドレープ感だったんです。 ちなみに織元は日本が誇る毛織物の名産地・尾州のミル。 やはり日本の生地はクオリティが高いですね」 (四方さん)
背中のインバーテッドプリーツも特徴
『マンチェスター』の大きな特徴となっているのが、背中に深く入ったインバーテッドプリーツ。これはタイロッケンコート『ヨークシャー』の意匠を盛り込んだものです。
「コートをデザインしたとき、予想以上にインバーテッドプリーツが上手くできていたんです。 単にデザインのアクセントとなるだけではなく、シルエットの美しさが際立つんですよね。 その雰囲気をシャケットにも取り入れられないかと思い、今回採用してみました。 一般的なボックスプリーツよりも折り込む生地の量が多いので、ユニークな表情を演出できたと思います。 シャツ仕立てでインバーテッドプリーツを入れるには普通の製法だと難しいそうで、“乗っけヨーク”という特殊な作りを採用しました」 (四方さん)
実は2WAYで着用可能
スタンドカラーがポイントの「マンチェスター」ですが、実は襟を折り返すと一般的なノッチドラペル風ジャケットとしても着られるようデザインしています。 秘訣は襟の作り。折り返したときもバランスよく見えるよう襟のカーブをやや強めにしつつ、襟と前立て部分に柔らかい芯地を採用することで柔らかいロールを描くよう計算しました。 実はこの設計、ジャケットやブルゾンのファクトリーではなく、シャツファクトリーで生産したからこそ実現できたもの。 さりげない職人技が込められています。
さりげなく機能性にも配慮
右胸には内ポケットを配しました。 スマートフォンや名刺入れ、ミニ財布などを収納するのにちょうどよいサイズ感となっています。 一枚仕立てのシャケットは軽い着心地を味わえる一方、収納が少ないのが不満……という方も「マンチェスター」はトータルで5つポケットがあるので満足いただけるはず。
袖まくりのニュアンスも自在
袖口の仕様にも、スタイリストならではのさりげない配慮が。
「ワークジャケットの袖はシンプルな筒状で、袖先が開閉できないものも多いのですが、それだと袖まくりなどのニュアンスがつけにくい。 ですので、細めのカフスをつけて開閉可能な袖口としました。 秋口でまだ寒さが厳しくない時季なら、写真のように袖をまくってもいいですね。 ちなみにボタンはフロントと同様にタグアヤシ製です」 (四方さん)
四方さんが考える“ニューベーシック”なジャケット
シャツからスタートし、その後コート、パンツと幅を広げてきたブリティッシュメイド オリジナルコレクションですが、このシャケットはかねてから四方さんがラインナップに加えたいと望んでいたアイテムでした。
「近年加速度的に進んだ服装のカジュアル化により、大人のワードローブにおいて新たなスタンダードの地位を確立したシャケット。 ジャケットよりも軽く、シャツよりも存在感があり、ブルゾンよりも気楽。 そんな新しい立ち位置の洋服なので、僕も雑誌などのスタイリングで頻繁に活用し、また個人的にも愛用していました。 ただ、巷に出回っているシャケットの大多数は襟羽根のあるシャツ型。 このようなスタンドカラーはなかなか見られません。 だからこそ、皆さんに価値を感じていただけるのではないか。 そう思ったのが『マンチェスター』製作のきっかけですね」 (四方さん)
四方さんが実践! 『マンチェスター』着こなし実例
ネイビーワントーンでミニマルに
「最近、改めて気になっているオールネイビースタイルでまとめました。 10年くらい前に流行ったのを記憶しているのですが、そろそろ再ブレイクするかも。 色数を絞り込んでいるのでミニマルな印象ですが、『マンチェスター』のリラックス感が効いてシャープになりすぎないところがポイントですね」 (四方さん)
襟を折り返してビジカジ風に
シャケット:BRITISH MADE - シャケット「マンチェスター」
シャツ:BRITISH MADE - ドレスシャツ「ロンドン」
トラウザーズ:BRITISH MADE - オフィサーパンツ「ポーツマス」
シューズ:JOSEPH CHEANEY - ケンゴン Ⅱ R
モデル身長:178cm 着用サイズ:M
シャツ:BRITISH MADE - ドレスシャツ「ロンドン」
トラウザーズ:BRITISH MADE - オフィサーパンツ「ポーツマス」
シューズ:JOSEPH CHEANEY - ケンゴン Ⅱ R
モデル身長:178cm 着用サイズ:M
「スタンドカラーを折り返して、ノッチドラペルジャケット風にスタイリングしました。ノージャケットでもOKなくらい服装自由度の高いシーンであれば、ビジネスジャケットとしても使えそうですね。ネイビーブレザーよりもさらにスポーティなジャケット、という位置付けでしょうか」 (四方さん)
季節の変わり目にも重宝
シャケット:BRITISH MADE - シャケット「マンチェスター」
トラウザーズ:BRITISH MADE - オフィサーパンツ「ポーツマス」
シューズ:JOSEPH CHEANEY - ケンゴン Ⅱ R
モデル身長:178cm 着用サイズ:M
トラウザーズ:BRITISH MADE - オフィサーパンツ「ポーツマス」
シューズ:JOSEPH CHEANEY - ケンゴン Ⅱ R
モデル身長:178cm 着用サイズ:M
「近頃は寒暖差がかなり激しいですが、そんな季節の変わり目を意識したコーディネートです。Tシャツ一枚で肌寒さを感じたから、何も考えずに『マンチェスター』を羽織っただけ。そんな場面をイメージしました。それくらい気楽に羽織れるシャケットだということですね」 (四方さん)
定番のベージュパンツとも相性よし
シャケット:BRITISH MADE - シャケット「マンチェスター」
トラウザーズ:BRITISH MADE - オフィサーパンツ「ポーツマス」
シューズ:JOSEPH CHEANEY - コインローファー「HUDSON」
モデル身長:178cm 着用サイズ:M
トラウザーズ:BRITISH MADE - オフィサーパンツ「ポーツマス」
シューズ:JOSEPH CHEANEY - コインローファー「HUDSON」
モデル身長:178cm 着用サイズ:M
「好評をいただいているブリティッシュメイド オリジナルのコットンパンツ『ポーツマス』と合わせてみました。ともに英国ヴィンテージをルーツにしているので、いうまでもなく相性は良好です。カーキのシャケットにベージュパンツという英国の定番的な色合わせに、黒を効かせてアップデートしました」 (四方さん)
「マンチェスター」の魅力を解説するにあたって、四方さんが繰り返し強調したのは“着こなしやすさ”というキーワードでした。
「とにかく一度、袖を通してみてほしいですね。 秋口ならカットソーの上に羽織るだけでサマになるし、冬には上にコートを着ても窮屈さは感じません。 あまり世の中にないシャケットを、という思いでスタンドカラーを採用しましたが、決して奇抜なアイテムを作ったわけではありません。 ワードローブのニューベーシックとして、あらゆるシーンで活用してほしい。そんな願いを込めたアイテムです」 (四方さん)
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