スタイリスト四方さんが考える“今、一番使える紺ブレ”が完成! | BRITISH MADE(ブリティッシュメイド)

スタイリスト四方さんが考える“今、一番使える紺ブレ”が完成!

2022.12.09

BRITISH MADE(ブリティッシュメイド) スタイリスト四方さんが考える“今、一番使える紺ブレ”が完成!
スタイリスト四方章敬さんが手がけるブリティッシュメイド オリジナルコレクションに、満を持してネイビーブレザーが初登場! クラシックをベースにしたスタイリングを得意とし、自身も数多くのテーラードジャケットを愛用する四方さんのこだわりが炸裂した力作です。

「トラッドの基本であり、あらゆるブランドがラインナップする紺ブレ。でも、実は自分が心から着たいと思えるものが、今までありそうでなかったんです。スタイリストとして“こんな紺ブレがあったいいな”と思える一着、そして何より、自分が本当に欲しいと思える一着を作ろう! そんな熱意をもって制作にあたりました」と四方さん。その結果、ベーシックでありながら唯一無二の独自性を備えた紺ブレが完成しました。その全貌をご覧に入れましょう。

既存の型にはまらない、ハイブリッドな紺ブレ


「テムズ」と名づけたオリジナルのネイビーブレザーは、“クラシックとリラックスの最適な融合”をテーマに開発がスタートしました。

「目下、久々の紺ブレブームに沸くファッション業界。その影響でかつてないほど多くのブランドから紺ブレが登場していますが、それらは概して、昔ながらのスタイルを忠実に踏襲したトラッド系、イタリア仕立ての影響を受けたドレス系、ルーズフィットなデザイナーズ系の3種類のみ。でも僕としては、それらの中間をゆくバランスが理想的でした。直球のトラッドでもなく、ドレス系よりも気楽に着られて、それでいてあくまで大人っぽい。そんなバランスの紺ブレが欲しかったんです。後で解説するとおり、1920年代の英国ジャケットにも通じる特徴を備えていますが、ヴィンテージ回顧というよりもあくまで“今のクラシック”を追求してたどり着いたバランスですね」(四方さん)

以下、その詳細を見ていきましょう。

英国羊毛「チェビオット」で織り上げたホップサック生地

ブリティッシュメイド シングルブレザー テムズ スタイリスト 四方章敬 英国羊毛「チェビオット」 ホップサック

紺ブレの定番生地であるホップサックは、ジャパニーズ・ファブリックの名産地・尾州で織られたもの。しかしその原料である羊毛はイギリス産で、しかも「チェビオット」とよばれる英国純血種の羊から採れたものを使用しています。通常、ツイードなど紡毛系の生地に向くチェビオットですが、こちらは生後初めて刈り取る羊毛のみを使用することで梳毛糸(紡績段階で短い毛を梳き取り、なめらかに仕上げた糸)を実現。実はなかなかレアな素材なのです。

「程よくゆとりをもたせたシルエットや芯地を省いたアンコン仕立てなど(ともに後述)、デザイン面ではリラックス感を意識しつつ、カジュアル専用ではなくタイドアップもできるドレス感が欲しかった。なので、生地は英国羊毛によるクラシックなホップサックを採用しました。ユルすぎない表情で、大人な本格感を表現できたと思います」 (四方さん)

セオリー破りの“微Aライン”が今どき感の秘訣

ブリティッシュメイド シングルブレザー テムズ スタイリスト 四方章敬 1920年代の英国ジャケットに共通するデザイン

やや高めの位置でロールするラペルから弓なりの曲線を描き、裾のカーブを後ろ側へ逃がすカッタウェイフロントにデザインした「テムズ」。前身頃のダーツを省きボディに適度なゆとりをもたせる一方で、肩幅は若者系紺ブレにありがちなドロップショルダーではなくジャスト幅に。フロントボタンを開けると、ゆるやかなAラインを描き出すのが特徴です。肩パッドを省きつつ、ショルダーラインの傾斜を強めに設定して“なで肩”に見せているのもポイント。これらは1920年代の英国ジャケットにも共通するデザインです。

「現代のジャケットは裾先が腰を包み込むように設計するのが普通で、コートのように裾が広がるAラインはNGとされていますが、あえてそこに挑戦しました。このほうがリラックス感の高い印象に仕上がり、僕が理想とする佇まいを表現できたためです。ただ、この微Aラインは実現するのが非常に難しく、最初に上がってきたサンプルでは裾が開きすぎてアンバランスでした。そのあたりを慎重に調整したことで、絶妙なシルエットを実現できたと思います。裏話になりますが、『テムズ』の型紙を依頼したのは業界でも有名なベテランパタンナー。こんな掟破りを受けてくれるかと不安だったのですが、逆に“普通のジャケットよりも面白そうじゃないか!”と快諾していただきました。とてもありがたかったですね」 (四方さん)

ラペル周りは正統派クラシックに

ブリティッシュメイド シングルブレザー テムズ スタイリスト 四方章敬 正統派クラシックのラペル周り

ジャケットの顔であり、全体の印象を大きく左右するのが襟周り。「テムズ」ではゴージラインを低めに、ラペルは太めに設計し、クラシックな表情に仕上げています。一方、ポケットは船底型にカーブさせたバルカポケットをチョイスし、曲線美を際立たせました。

「ドレス系やトラッド系はハイゴージでラペル細め、デザイナーズ系は極端なローゴージにデザインしているものが多いのですが、『テムズ』はそれらのいずれとも違うラペルに。ビスポークスーツに見られるような、正統派クラシックをイメージしました。このあたりも、タイドアップからカジュアルミックスまで幅広く着回せる汎用性に繋がっていると思います」 (四方さん)

バックスタイルにも適度なリラックス感が

ブリティッシュメイド シングルブレザー テムズ スタイリスト 四方章敬 バックスタイル

後ろから見ても、わずかに裾が広がる微Aラインがわかるはず。通常、テーラードジャケットには“細腹”とよばれる帯状のパーツを身頃の両脇にとりますが、「テムズ」はあえて細腹を省略。これにより、よりシンプルでクリーンな表情を狙いました。着丈はヒップが隠れる程度に設定し、ゆとりをもたせた身幅との調和を意識しています。

メタルボタンはハンドメイド!

ブリティッシュメイド シングルブレザー テムズ スタイリスト 四方章敬 ハンドメイド メタルボタン

メタルボタンは大阪にある小規模ファクトリーが手がけたハンドメイド。ボタン裏側の“足”部分の四角形にすることで、縫い付けた際にボタンがキリッと直立するように仕立てられています。

「一般的な紺ブレにありがちな金ボタンではなく、あえてアンティーク調のものをセレクトしました。大人らしい渋さを醸し出すとともに、金ボタンに苦手意識のある方でも着ていただきやすくなっていると思います」 (四方さん)

チェンジポケットでさりげない英国感を

ブリティッシュメイド シングルブレザー テムズ スタイリスト 四方章敬 チェンジポケット

スポーティ感を高め、カジュアル使いもしやすいパッチポケット仕様。しかしよく見ると、右側のポケットが二重になっているのがわかります。

「これはチェンジポケットの一種で、英国ブランドのジャケットに時折見られるディテールです。ブリティッシュメイドのブレザーということで、さりげない英国感も取り入れました」 (四方さん)

リラックスしつつ立体美も叶えるアンコン仕立て

ブリティッシュメイド シングルブレザー テムズ スタイリスト 四方章敬 アンコン仕立て

リラックス感を表現するため、芯地などを極力省き、身頃の裏地をゼロにしたアンコン仕立てを採用。表地をジャケットの内側まで広く伸ばした“大見返し”仕立てにより、芯地を省きつつ保形性を維持しています。

「仕立ては極力軽く、が僕のイメージでした。しかし、シャツのようにペラペラしたものでは貧相。そこで、アンコンジャケットを作らせたら国内屈指と称される実力派ファクトリーに生産を依頼し、軽くても立体感のある一着に仕上げていただきました。ゆとりをもたせているのに汚いシワが入らず、ゆったりとしたドレープを描き出しているのがポイントです」 (四方さん)

多様化する紺ブレスタイルに最適化した新機軸

ブリティッシュメイド シングルブレザー テムズ スタイリスト 四方章敬 ミックススタイルを無理なく実践

既存の紺ブレには見られないシルエットやデザインを随所に採用した「テムズ」。しかしそれは、単に独自性だけを追求したものではなく、四方さんが感じていた紺ブレスタイルの実情にマッチさせるという目的もありました。

「今の紺ブレスタイルは、いかに“ミックス”するかが鍵。BDシャツ・レジメンタイ・グレースラックスのような伝統的トラッドではなく、スウェットを合わせてみたり、ミリタリーやスポーツテイストの服でハズしてみたりと、従来の枠にとらわれない着こなしが主流になっています。とはいえ、ブレザー自体はあまり以前と変わりがない。そうなると当然、今どきなミックススタイルを実践するには相応のテクニックが必要になってきます。たとえばあえてワンサイズアップしつつ、細部をお直しに出して調節したり、窮屈さをガマンして厚手のスウェットを無理やりインしたり。そんな難しさを解消し、今どきのミックススタイルを無理なく実践できる、アップデートされた紺ブレがあれば……と考えたことが『テムズ』の出発点となりました。多様化する今の紺ブレスタイルにぴったりな一着ができたと自負しています」 (四方さん)

四方さんが実践! 「テムズ」の着こなし具体例
色使いでトラッドスタイルをアップデート

ブリティッシュメイド シングルブレザー テムズ スタイリスト 四方章敬 コーディネート トラッドスタイル ジャケット BRITISH MADE ー シングルブレザー「テムズ」
シャツ BRITISH MADE - カジュアルシャツ「ブライトン」
トラウザーズ BRITISH MADE - オフィサーパンツ「ポーツマス」 (コットン)
シューズ JOSEPH CHEANEY - 「FORESTER Ⅱ R」
モデル身長:178cm 着用サイズ:M

「アップデートされたトラッドスタイルをイメージしたコーディネートです。旧来なら、白や青のオックスフォードBDシャツにチノパンを合わせていたところを、セミワイドカラーのイエローシャツにブラウンスラックスで新鮮に。フロントボタンは留めずにAラインを演出し、さらりと着流すようなイメージに仕上げているところもポイントです」 (四方さん)

ミックススタイルも簡単に決まる

ブリティッシュメイド シングルブレザー テムズ スタイリスト 四方章敬 コーディネート ミックススタイル ジャケット BRITISH MADE ー シングルブレザー「テムズ」
スカーフ Johnstons of Elgin ー HAA2870 チューブラースカーフ
トラウザーズ BRITISH MADE - オフィサーパンツ「ポーツマス」 (コーデュロイ)
モデル身長:178cm 着用サイズ:M

「こちらは近年主流のミックススタイルを意識。レタードスウェットやニットマフラーを合わせてカジュアルダウンしていますが、パンツで上品さをキープしました。たとえばヴィンテージジーンズやアーミーチノだとラギッドに傾きすぎてしまいますが、オフホワイトのコーデュロイスラックスを合わせてクリーンにまとめています」 (四方さん)

フリースをインする着こなしもおすすめ

ブリティッシュメイド シングルブレザー テムズ スタイリスト 四方章敬 コーディネート ウールフリース ジャケット BRITISH MADE ー シングルブレザー「テムズ」
フリース BRITISH MADE ー ウールフリース「アバディーン」
シューズ JOSEPH CHEANEY - ケンゴン Ⅱ R
モデル身長:178cm 着用サイズ:M

「身頃にゆとりをもたせた『テムズ』は、厚手のインナーをレイヤードしても快適。たとえばこちらように、フリースをインするのもおすすめです。タートルネックのニットを合わせる感覚でフリースを使えば、アウトドアミックスな紺ブレスタイルが完成。パンツはグレーのスラックスを選んで、大人らしくスタイリングしました」 (四方さん)

ブリティッシュメイド  シングルブレザー テムズ スタイリスト 四方章敬 コーディネート ジョセフ チーニー

ビスポークをはじめ、数多くのテーラードジャケットを普段から愛用する四方さん。その経験値が凝縮された「テムズ」は、既存の紺ブレにはなかった魅力を備えています。

「ドレスクロージングをベースとしていることもあって、僕はどうしても細かいことが気になってしまう性分なんです。紺ブレにしても、“もう少し身幅にゆとりがあれば……”とか、“ここにもう少し立体感があれば……”なんて色々と考えてしまって、なかなか満足いくものが見つけられない状況が続いていました。そんな今までの思いを形にしたのが『テムズ』です。一見ベーシックですが、実際にコーディネートしてみると、その使い勝手を実感していただけるはず。久々に紺ブレを着たくて色々探しているけれど、イマイチしっくりくるものがないという、僕と同じお悩みをお持ちの方、あるいはもっとざっくり、今どきな紺ブレが欲しい!という方、ちょっと目先の変わった紺ブレを試してみたいという方、みなさんに自信をもっておすすめできる一着になりました」 (四方さん)

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Styling by Akihiro Shikata / 四方章敬
Text by Hiromitsu Kosone / 小曽根広光


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