スタイリスト四方章敬さんがディレクションを手がけるブリティッシュメイド オリジナルウェアコレクションから、新アイテムがデビュー! スタイリストならではの目線から生まれた、“セット使いできるパックT”という新機軸です。一見ベーシックに見えて、実は語りどころ満載。その開発にもかなりの手間を費やし、プロのこだわりをミリ単位で追求しました。
「どこにでもありそうなパックTは作りたくなかったので、コンセプトからじっくりと練り込みました。そしてたどりついたのが、”セット使い”というアイデア。近頃は色違いやデザイン違いのパックTも巷に出ていますが、組み合わせて着られるものは見たことがありません。Tシャツのレイヤードって、いざトライしてみると細かいバランスが結構気になるもの。そのあたりをいろいろと研究して、理想的な見え方を追求しました」と四方さん。さて、そのこだわりポイントとはいかに?
「どこにでもありそうなパックTは作りたくなかったので、コンセプトからじっくりと練り込みました。そしてたどりついたのが、”セット使い”というアイデア。近頃は色違いやデザイン違いのパックTも巷に出ていますが、組み合わせて着られるものは見たことがありません。Tシャツのレイヤードって、いざトライしてみると細かいバランスが結構気になるもの。そのあたりをいろいろと研究して、理想的な見え方を追求しました」と四方さん。さて、そのこだわりポイントとはいかに?
スタイリスト目線で生まれた、“セットで着られるパックT”
パックTといえば一般的に、同じTシャツを複数枚セットにしたものが知られています。しかしこちらは「マルチパックT」という名前のとおり、“アウターT”、“インナーT”、“チーフ”という3種類のアイテムをセットにしているのが最大の特徴。さらにそれらをコーディネートして着られるよう、それぞれの素材やシルエットを計算して設定しています。
「ただプロダクトをセット売りするだけでなく、コーディネート提案まで含めて企画するあたりがスタイリスト発らしいのではと思っています。ネイビーのアウターTは、“スウェット風のTシャツ”をイメージして作りました。最近はトラッドブームの影響で大人のスウェットが定着しつつありますが、いま気になっているのが夏にも着られる半袖スウェット。ただ、アメカジスウェットだと少々ラギッドすぎるので、大人が着られるバランスのものがあるといいなと考えていたんです。そこでこのアウターTでは、40番手という繊細な糸を使った厚すぎない生地を採用。ラグランスリーブやゆとり感のあるシルエットなどスウェットのテイストを活かしつつ、大人の上質さを表現しました」(四方さん)
いっぽう、白のインナーTはフィット感を重視して重ね着してもゴロつかないようデザイン。生地もアウターTより薄手のものを採用しています。とはいえピタピタのタイトフィットにはせず、適度なゆとりも残しました。着心地の良さをキープするとともに、インナーTを1枚で着ても下着のように見えないよう配慮しています。
そしてチーフは、「マッキントッシュ」とよばれる伝統的タータンをアレンジ。配色を変更しているのですが、全体的に発色を抑えめにした“くすみカラー”を採用してシックに仕上げました。こういうトーンは今のトレンドでもあり、コーディネートしやすいのも魅力です。染色に高度な技術を要するため、手染めによって色柄を表現。端の巻き縫いも極力細くして上質さを高めました。
レイヤード時のバランスも徹底追求
アウターTとインナーTをレイヤードしたときに、四方さんが最も気を配ったのが“インナーの見え具合”。何度も試行錯誤を重ね、ミリ単位で修正を行なって完成させました。
「インナーのTシャツは首と裾がそれぞれ1センチ程度見えるのが好バランスとされていて、僕も普段からその見え方にこだわってスタイリングしています。ただ、これを実現するのが結構難しい。そもそもインナーT自体、首の詰まり具合と着丈のバランスがちょうどいいものが意外と少ないですし、当然ながら上に重ねる服のネックサイズも千差万別ですから、両者のネックサイズを最適なバランスに噛み合わせる必要があるわけです。根気よく吟味すればベストな組み合わせが見つかるとは思いますが、正直ちょっと面倒ですよね。その点こちらのパックTなら、はじめから最適なネック&着丈バランスで設計していますから、労せずしてベストなレイヤードが完成するというわけです」(四方さん)
首元にも胸元にも映えるコットンチーフ
コットンチーフは、やや大きめのサイズに設定。スカーフとしても活用できるほか、実は“風呂敷”もインスピレーションソースになっています。
「以前、ある服飾業界の重鎮が出張時のパッキングに風呂敷を活用しているという話を聞いたことがあったんです。布などの袋と違い中身に合わせて形を変えられるのがメリットということで、なるほどと印象に残っていたんですね。で、今回のテーマは“パックT”。普通ならお洒落なビニールパッケージなどをデザインするところなのですが、その代わりに“風呂敷としてパッキングにも使えるチーフ”をセットにしてみるのもいいのでは?というアイデアが浮かんだんです」(四方さん)
収納アイテムとしてもアクセサリーとしても活用できる妙案といえるでしょう。
薄手&ソフトな素材でニュアンスづけも簡単
ポケットチーフとしての活用にあたって、四方さんが意識したのは“素材感”でした。
「サイズを大きくしたぶん、できるだけ薄い素材をチョイスしているのがポイントです。イメージしたのは、洗い込まれたヴィンテージバンダナの風合い。大判でもくたっとしているので、胸ポケットに入れた際にボリュームが出すぎず、またニュアンスづけもしやすいんですよね。そこで今回は、40番単糸のコットンガーゼ生地を採用しました。ご覧のとおり、シャツジャケットなどカジュアルなアウターにもよく合いますよ」(四方さん)
アウターTとインナーTで異なる素材を採用
アウターTの素材は、ハードすぎず薄すぎず、また大人の上質感も意識してチョイス。繊細な40番手の糸を双糸使いすることで、適度なボリューム感を出しつつきめ細かさも実現しました。生地をソフトにする仕上げを施すことで、柔らかな膨らみ感を味わえるのもポイントです。
いっぽうインナーTの素材は、レイヤード時のバランスを考慮してやや薄手に。といっても下着のようにペラペラしたり、肌が透けすぎないよう注意しました。シャツのようにインナーの見える分量が多いトップスを合わせても絵になります。
インナーTのこだわり
ネック周りはミリ単位で調整
程よく詰まったネックは、セットのアウターTだけでなく様々なトップスと好相性。前下がり(ネックの後ろ側と前側の差)の角度をミリ単位で吟味し、リブの幅も四方さんの理想的バランスを突き詰めました。さらにこだわったのが、リブの伸びにくさ。洗濯を繰り返してもダレてこないよう、“度詰め”とよばれる仕上げ加工を行い、耐久性をアップさせています。
丸胴編みで着心地柔らか
インナーTは素肌に直接当たることを考慮し、着心地の柔らかさを縫製面でも追求。サイドシームのない丸胴編みを採用することで、ゴロつきを解消しています。また首や肩周りは縫い目に身頃と同素材でテープ処理を施す“タコバインダー”仕様に。型崩れを防ぐとともに、縫い目のアタリを柔らかくする効果も狙っています。
アウターTのこだわり
上品さを高める裾リブ仕様を採用
スウェットをイメージしてゆったりとしたシルエットに仕上げたアウターTですが、裾に太めのリブをつけているのが特徴的。これはニットのディテールを踏襲したもので、裾が絞られるため見た目が上品になるのが大きなメリット。チラリと覗くインナーTとのバランスも良好です。
立体感のあるバインダーネック
アウターTもネックの大きさやリブ幅などを徹底的に吟味。インナーTよりも前下がり角度をつけることで、理想的なバランスに収まるよう計算しています。リブ生地で身頃の生地を挟み込むようにして縫製する“バインダーネック”を採用することで、伸びを防ぐとともにアウターらしい立体感も演出しています。
ラグランスリーブでアクセントを
Tシャツで一般的なセットインスリーブではなく、ラグランスリーブを採用しているのも特徴。「スウェットからのインスピレーションですが、ラグランは英国コートの定番でもあるので、ブリティッシュテイストにも繋がるディテールだと思います」と四方さん。袖口は2本針でステッチをかけることにより、アウターTとしての存在感を高めています。
インスタライブのコメントも開発のきっかけに
実はこのマルチパックT、開発のきっかけになったのは、四方さんにご出演いただいているインスタライブに寄せられたコメントでした。
「これまで色々なアイテムをブリティッシュメイド オリジナルとして企画してきて、その解説ライブを行なってきたのですが、スタイリング例を紹介しているときに『合わせているTシャツはどちらのものですか?』というコメントを何度かいただいたんです。僕自身、Tシャツ選びには過去いろいろと迷ってきたのですが、同じような思いを抱いている方は意外と多いんだなと実感しました」(四方さん)
いっぽう、ここ数年は“本格パックTブーム”とよべる現象が局所的に起こり始めていて、安価なアメカジものとは一線を画すこだわりのパックTが注目を浴びているという話もよく耳にします。そこで、僕なりの理想を形にした、ありそうでない本格パックTを作ろう!と思い立ったのが企画の第一歩となりました。
「普通のTシャツセットで1万円台だと割高に感じますが、このマルチパックTはスウェット感覚のトップス+Tシャツ+チーフの3アイテムで1万6500円。クオリティにもかなりこだわりましたので、コストパフォーマンスも感じていただけると思います」(四方さん)
四方さんが実践! マルチパックTの着こなし実例
ドレスパンツに合わせた大人のサマーカジュアル
Tシャツ BRITISH MADE - マルチパックT
トラウザーズ BRITISH MADE - オフィサーパンツ「ポーツマス」
シューズ JOSEPH CHEANEY - [別注]ハワード R
モデル身長:178cm 着用サイズ:M
トラウザーズ BRITISH MADE - オフィサーパンツ「ポーツマス」
シューズ JOSEPH CHEANEY - [別注]ハワード R
モデル身長:178cm 着用サイズ:M
「この夏は個人的にこういう服装が一番気分。スウェットライクなTシャツにグレーのスラックスを合わせた、ドレス&カジュアルのミックススタイルです。ここで効いてくるのが、チラリと見えているインナーTの白。ただの紺×グレーよりもスタイリングにメリハリがつき、シンプルながら洒落た雰囲気にまとまるんです」(四方さん)
グラデーショントーンでクラシックに
Tシャツ、チーフ BRITISH MADE - マルチパックT
シャツ BRITISH MADE - カジュアルシャツ「ブライトン」
トラウザーズ BRITISH MADE - オフィサーパンツ「ポーツマス」 (コットンドリル)
シューズ JOSEPH CHEANEY - [別注]ハワード R
モデル身長:178cm 着用サイズ:M
シャツ BRITISH MADE - カジュアルシャツ「ブライトン」
トラウザーズ BRITISH MADE - オフィサーパンツ「ポーツマス」 (コットンドリル)
シューズ JOSEPH CHEANEY - [別注]ハワード R
モデル身長:178cm 着用サイズ:M
「インナーTをシャツに合わせ、チーフを首元にプラスしました。Tシャツは薄すぎず厚すぎずの素材なので、シャツの下に合わせても野暮ったく見えないのがポイントです。チーフはコンパクトに結んで、あまり仰々しく巻かないのが今どきですね。全体をブラウン〜オフ白〜白のグラデーションでまとめることで、クラシックサマーな雰囲気にまとめました」(四方さん)
“アウターTのインナー使い”もおすすめ
Tシャツ BRITISH MADE - マルチパックT
ジャケット BRITISH MADE - シャケット「マンチェスター」 (ツイル)
トラウザーズ BRITISH MADE - オフィサーパンツ「ポーツマス」 (コットンドリル)
シューズ JOSEPH CHEANEY - ケンゴン Ⅱ R
モデル身長:178cm 着用サイズ:M
ジャケット BRITISH MADE - シャケット「マンチェスター」 (ツイル)
トラウザーズ BRITISH MADE - オフィサーパンツ「ポーツマス」 (コットンドリル)
シューズ JOSEPH CHEANEY - ケンゴン Ⅱ R
モデル身長:178cm 着用サイズ:M
「“アウターT”という名前ではありますが、もちろんこの上にブルゾンやジャケットなどを着てもOK。肉厚すぎない素材を選んでいますので、軽やかにレイヤードしていただけると思います。このように、セットで着てもバラして着てもサマになるのがマルチパックTの魅力。ひとつお求めいただくだけで、コーディネートの幅がグッと広がると思います」(四方さん)
シンプルなTシャツでありながら、解説がかなりの長文になってしまいました。それはすなわち、四方さんがいかにこだわりを込めて作り込んだかの証でもあります。
「Tシャツ選びというのは本当に奥が深いものですね。特に僕の場合、ドレスクロージングを基本としているので、ミリ単位のバランスまで気になってしまうのですが、今回のマルチパックTは今までの個人的願望やスタイリストとしての経験則を凝縮して作り込めたと思っています。一見普通だけれど、かゆいところに手が届く。そんなところが魅力ですので、モノにこだわる大人の方にこそ、その魅力を感じていただけると思いますよ」(四方さん)