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2025年春夏シーズンが本格始動し、ブリティッシュメイド メンズコレクションの新作も続々到着。今季はベストセラーモデルの新素材に加え、新登場のアイテムも多数お目見えします。そんな充実のラインナップから、春の装いにぴったりな5点をピックアップ。当コレクションのディレクションを務めるスタイリスト四方章敬さんがすすめる、いま旬なスタイリング例とともにご紹介します。
今季はブリティッシュスウェット「レスター」がデビュー
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2025年春夏、新アイテムとしてコレクションに加わったのが、「レスター」と名づけたスウェット。ヴィンテージの英国スウェットにインスピレーションを得つつ、“ジャケットに合うスウェット”をテーマに作り込んだアイテムです。
「トラッド好きな方にとって、ジャケットの下にニット感覚でスウェットを合わせる着こなしはいまやお馴染みだと思います。でも実際に合わせてみると、スウェットが肉厚すぎてジャケットがパツパツになってしまったり、着丈やシルエットがいまいちマッチしなかったりと、なかなか難しさを感じることも多いはず。そこで考案したのが『レスター』です。
ポイントは、ジャケットに合う厚みやシルエットに設定しつつ“キレイになりすぎない”バランスに仕上げたこと。ドレッシーな顔つきのキレイめスウェットはイタリア系ブランドからすでに数多く販売されているので、そことは違う路線を攻めたいと思ったのです。
そこでこだわったのが、仕上げのヴィンテージ加工。古着のような風合いを再現して、ジャケットと合わせたとき“ハズシ”として効くような表情に。でも、加工が激しすぎると合わせが難しくなってくるので、やりすぎない塩梅に……という難しいところを狙ったので、何度もサンプルを作り直して試行錯誤しました。既存のブリティッシュメイド オリジナルアイテムと同じく、ありそうでない一着に仕上がったと思います」(四方さん)
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英国感を高めるために、ブリティッシュニットの定番的意匠であるサドルショルダー(袖の切り替え線をやや角張らせたラグランスリーブ)を前身頃に取り入れているのも特徴。インナーとしてだけでなく、一枚で着ても映えるスウェットです。また、裾・袖のリブは短めにデザインしてジャケットと合わせやすいバランスに。
四方さんはこう着る!「王道ブレザー&パンツスタイルの簡単アップデート役に」
「ネイビー無地のブレザー『テムズ』、オフ白のオフィサーパンツ『ポーツマス』と合わせて、ベーシックにまとめました。今までならここにシャツを合わせていたところですが、これをスウェットに変えるだけで新鮮さがグッと上がりますよね。さりげないヴィンテージミックス感によって、コーディネートに適度なヒネリが加わるのもポイントです。これがニットやドレス系スウェットだと、ちょっとキレイにまとまりすぎかも。スウェットが分厚すぎないのでブレザーのシルエットを崩さず、着心地も窮屈感がなく快適ですよ」
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フライトジャケット「リーミング」は軽やかなコットンリネンにバージョンアップ
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イギリス空軍のフライトジャケット、MK4をヒントにデザインした「リーミング」。ゆったりとした身幅と短めの着丈が特徴で、春の主役として存在感を発揮するアイテムです。フロントボタンの位置が中心からずれているのも印象的。前を開けて羽織ったときのアクセントとして効果を発揮します。今季はコットンリネンの軽快なファブリックを採用。“ドビードリル”というヴィテージテイストな織りで、風合いも豊かな一着が完成しました。
四方さんはこう着る!「オフホワイト〜ベージュの同系色で、クリーンなミリタリーに」
「春らしいオフホワイト、シックなブラウンという好対照な2色で展開する今季の『リーミング』。今回はスタイリングに迷いそうなオフホワイトを選んでみました。一見難しそうに感じるかもしれませんが、真っ白ではなくニュアンスのあるトーンとヴィンテージ調の素材感が効いて、ブリティッシュやトラッドな装いにも合わせやすくなっています。インナーは同じくオフホワイトの『レスター』スウェット、パンツはベージュの『ポーツマス』を選んで、全身を同系色で統一しました。ミリタリーアイテムを主体としたコーディネートですが、クリーンな色使いで都会的にまとめています」
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ドレスワイドパンツ「セントアイヴス」は名作ファブリックでより快適なはき心地に
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1960年代に英国軍が採用していた“No.2ドレスパンツ”をモチーフとする「セントアイヴス」。ストンと落ちるワイドストレートシルエットや、ウエストバンドを大きくまたぐ太めのベルトループといった特徴的な仕様を活かしつつ、モダンな装いで幅広く活用できるようスタイリスト目線でアレンジを施しています。今季はヴィターレ バルべリス カノニコ社の名作生地「スーパーソニック」を採用。イタリアファブリックながら英国的なハリコシを備え、スーパー110’sの上質な羊毛により肌触りも贅沢。そのうえシワになりにくく、ナチュラルストレッチ性もある秀逸な素材です。
四方さんはこう着る!「ワイドパンツこそ、シンプルに合わせるのがおすすめ」
「ワイドなドレスパンツはモードな印象を感じさせるアイテムですが、だからこそあまり頑張りすぎず、サラリとシンプルにはくのが格好いいと思います。今日はドレスシャツ『ロンドン』をTシャツの上に羽織って、ブルー・ホワイト・チャコールグレーというメンズウェアの三大基本色でまとめました。それでも、パンツがワイドになるだけで印象がかなり違って見えるものです。裾丈はテーパードパンツよりもほんの少しだけ長く、先が靴の甲に少しだけ触れるジャストレングスではくのが好バランスですね」
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オフィサーパンツ「ポーツマス」にもスーパーソニック版が登場
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ブリティッシュメイド メンズコレクションのベストセラーアイテムといえるのが「ポーツマス」。1960年代、英国海軍に採用されていたオフィサーパンツに想を得たもので、細すぎず太すぎずのありそうでなかったテーパードシルエットが特徴です。前出の「セントアイヴス」がアウトプリーツなのに対して、こちらはより英国らしい2インプリーツ仕様。ファブリックはこちらもヴィターレ バルべリス カノニコのスーパーソニックをチョイスしました。
四方さんはこう着る!「短丈ブルゾンを大人っぽく仕上げるのに最適」
「MK4型フライトジャケット『リーミング』のブラウンと合わせて、シックなミリタリースタイルにスタイリングしました。グレー×ブラウンという渋めな色合わせですが、どちらもトーンが暗すぎないので重苦しく見えず、春らしい印象に見えますね。『リーミング』は身幅は袖が太く、着丈は短いという昨今流行のシルエットになっていますが、このようなトップスは『ポーツマス』くらいの適度なテーパードパンツが一番バランスよく見えると感じます。大人っぽい落ち着き感も表現できて、個人的にとてもしっくりくる合わせですね」
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シャケット「マンチェスター」は真夏まで快適なウールリネン製に
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シャツのように着られるジャケット=シャケットとして考案した「マンチェスター」。1940年代の英国ワークジャケットに範をとったスタンドカラーは、ボタンの留め方によって多彩な表情を引き出すことができます。今季はタテ糸にウール、ヨコ糸にリネンを使った一着がお目見え。サラリと軽い肌触りのため、真夏まで快適に着用できます。リネン混ならではの味わいあるシワも特徴的で、見た目も清涼感ある佇まいに。
四方さんはこう着る!「明るいグレー&白で、春夏のモノトーンスタイルに」
「こちらの『マンチェスター』、遠目には無地に見えますが、実は非常に細いグレーのストライプ柄。コードレーンを思わせる柄ゆきにトラッドな魅力を感じてチョイスしました。リネン混ということもあり爽やかな印象が魅力なので、スタイリングもそれを活かす方向に。インナーは白のTシャツを合わせ、パンツはミディアムグレーの『ポーツマス』を選びました。グレー&ホワイトの明るめなモノトーンで統一することで、清潔感ときちんと感を両立した印象に見えると思います」
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■ 四方章敬さん
「LEON」「MEN’S EX」「Men’s Precious」「THE RAKE JAPAN」など、ラグジュアリーメンズファッション誌で活躍中の四方章敬さん。イギリスの洋服に詳しいだけでなく、洋服が持つディテールとその背景を熟知、現代のファッションにまで精通するスタイリストです。
■ BRITISH MADE ORIGINAL WEAR COLLECTION
[キーワードはモダンブリティッシュ]
「イギリスにルーツを持つアイテムを現代のライフスタイルに合うよう再構築する」をテーマに、オリジナルウェアを展開。クラシックの良さを生かしつつ時代に合わせてモディファイすることで、モダンブリティッシュなアイテムを提案していきます。メンズアイテムはスタイリスト四方章敬が監修。
Instagram:https://www.instagram.com/bm_britishmade_clothing/
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Text by Hiromitsu Kosone / 小曽根広光