
誕生から9シーズン目を迎え、さまざまなアイテムを展開するブリティッシュメイド メンズコレクション。なかでも毎シーズン好評をいただいているのが、ブレザー「テムズ」とオフィサーパンツ「ポーツマス」です。そんなベストセラーアイテムの今季的着こなし方を、コレクションの監修を務めるスタイリスト四方章敬さんが解説。装いのアップデートにぜひお役立てください。
【Best Seller 1】
ブレザー「テムズ」



上品なリラックス感を醸し出す”Aライン”
テーラードウェアをこよなく愛し、スーツをオーダーしに海外まで赴いたこともある四方さん。仕事でも数えきれないほどのスーツやジャケットに触れ、スタイリングを手がけるうち、“こんな一着があったら……”という理想像が固まってきたそう。それをカタチにしたのが「テムズ」と名づけたブレザーです。テーマとしたのは“クラシックとリラックスの最適な融合”。ドレッシーにもカジュアルにも着こなせて、トラッドでありながらモダンさも感じさせるブレザーを目指して開発がスタートしました。そこでインスピレーションとなったのが、1900年代前半の英国ジャケット。ボタンを開けると緩やかなAラインを描く独特のシルエットで、裾のカッティングも左右へ自然に広がるようデザインしています。さらにショルダーラインもなだらかな“なで肩”に設計することで、さりげないリラックス感を表現しました。
左は定番のホップサックウール製。英国素材にこだわり、上質なベーシックを追求しました。右は今季の新素材となるリネン×コットン製。サラリとしたドライタッチで春夏にぴったりの着心地です。ボタンもあえてシェル(貝)を選んで、軽やかに仕上げました。
How to Style “Hopsack Blazer” in 2025
「オフ白パンツで、程よく力を抜くのが今どき」

シャツ:オフィサーシャツ / プリマス ¥19,800(BRITISH MADE)
パンツ:オフィサーパンツ / ポーツマス(コットンドリル) ¥28,600(BRITISH MADE)
シューズ:ハワード ¥92,400(JOSEPH CHEANEY)
まずは、リネンコットンの新素材ブレザーを主役にした今季のスタイリング例から。
「ネイビーブレザーは奥が深いアイテムで、少し色みが違うだけでも印象は随分変わってきます。このリネンコットン製『テムズ』は、定番のウールホップサックよりも若干明るめなネイビー。グッと軽やかな雰囲気になるため、春夏らしい雰囲気に仕上がるのが特徴です。
春夏を象徴する色合わせといえば、ネイビー×ホワイト。僕も毎シーズン実践しているスタイリングですが、ここでポイントとなるのが白のトーンです。真っ白を合わせてコントラストを明確にするとトラディショナルな印象の装いに仕上がりますが、より今どきな雰囲気に仕上げるなら、ほんの少しトーンのあるオフホワイトを合わせるのがおすすめ。それを実践したのがこちらのコーディネートです。濃紺ブレザー×純白パンツよりも全体的に力の抜けた雰囲気になり、それが今っぽさに繋がっているというわけですね。インナーには後ろ見頃を長くとったオフィサーシャツ『プリマス』を合わせて、少しヒネリも加えました」(四方さん)
Another Style
「ビジネスで着るなら、ストライプシャツでアクセントを」ジャケット:テムズ(リネン / コットン) ¥57,200(BRITISH MADE)
パンツ:オフィサーパンツ / ポーツマス(ベルトループ付) ¥38,500(BRITISH MADE)
シューズ:ハドソン ¥92,400(JOSEPH CHEANEY)
上と同じリネンコットンの「テムズ」を使った装いですが、こちらはビジネススタイルを想定した着こなし。
「今や春夏のビジネススタイルはノータイが定番ですが、ただネクタイを外しただけだと寂しい印象になりがち。そこでおすすめしたいのが、いつもより少しだけ柄の効いたシャツを合わせること。ここではくっきりとしたロンドンストライプ柄を合わせました。シンプルな装いですが、適度な華やぎ感が加わって気の利いた印象に見えますよ」
How to Style “Hopsack Blazer” in 2025
「ワイドパンツを合わせて、ベーシックを新鮮に」

シャツ:ドレスシャツ / ロンドン ¥19,800(BRITISH MADE)
ベルト:ロングリボンベルト ¥17,600(GLENROYAL)
パンツ:ドレスワイドパンツ / セントアイヴス ¥39,600(BRITISH MADE)
シューズ:ハドソン ¥92,400(JOSEPH CHEANEY)
続いて、定番展開しているウールホップサックの「テムズ」を今季的に着る方法を四方さんが解説。
「ベーシックなアイテムを新鮮に……というと、なにか奇抜なアイテムを合わせたほうがいいのではと考えるかもしれませんが、それほど難しく考える必要はありません。ベーシックこそ、ほんの少しバランスを変えるだけでアップデートできるんです。たとえばこちらのスタイリングの場合、ブレザーにブルーシャツ、グレーパンツと非常にオーセンティックな組み合わせ。ですが、パンツをワイドシルエットな『セントアイヴス』にすることで、さりげない新鮮さを呼び込んでいます。ワイドといっても過剰なルーズシルエットではありませんから、ビジネスシーンでも活用いただけると思いますよ。
それからインナーに合わせたシャツも、定番的なサックスブルーよりも少しだけ濃いブルーにしているのがポイント。ブリティッシュな印象も高まって、シンプルだけれど印象に残るコーディネートを築けます」
Another Style
「ジャケット以外の色を揃えるのも今どき感アップの秘訣」ジャケット:テムズ(ウールホップサック) ¥73,700(BRITISH MADE)
ニットベスト:フェアアイルベスト / ウーラクーム ※2025年3月下旬発売予定(BRITISH MADE)
シャツ:ドレスシャツ / ロンドン ¥19,800(BRITISH MADE)
パンツ:オフィサーパンツ / ポーツマス(コットンドリル) ¥28,600(BRITISH MADE)
シューズ:ハワード ¥92,400(JOSEPH CHEANEY)
「ここ数年、全体の色みを同系色で揃えるトーン・オン・トーンのスタイリングが主流になっていますが、今季はそこに新しい流れが。インナー・パンツ・靴はこれまで同様に同系色で統一しつつ、上着だけは違う系統の色を合わせることで、クワイエットな上品さにアクセントを効かせた着こなしが注目されているんです。
フェアアイルニットの柄色はベージュ・グリーン・ホワイトで構成されていますが、それぞれパンツ・シャツ・ブレザーと色がリンクして、まとまりよく見えるのもポイントですね」
【Best Seller 2】
オフィサーパンツ「ポーツマス」



ありそうでない、絶妙なバランスのテーパードシルエット
ブリティッシュメイド メンズコレクションの立ち上げ初期から展開し、現在ではコレクションを代表するヒットアイテムとなっている「ポーツマス」。一見ベーシックなパンツのようですが、スタイリスト四方さんのこだわりが細部まで凝縮された一本です。イタリア系ドレスパンツほどスリムでなく、デザイナーズ系パンツほどワイドではない。そんな“ありそうでない”シルエットを追求して生まれたのが本作です。そのイメージソースとなったのが、1960年代にロイヤルネイビー(英国海軍)が採用していたオフィサーパンツ。ミリタリーウェアでありながらエレガンスも感じさせるシルエットが特徴的でした。
そのバランスを参考にしつつ、シルエットは現代的なテーパードに設定。さらに本格ドレスパンツを製作する実力派のファクトリーに生産を依頼し、細部まで上質な仕立てにこだわりました。
左は、ヴィターレ バルべリス カノニコ社が手がけたファブリック「スーパーソニック」を使用。上質感と英国的なハリコシを兼備したウールで、シワにも強い機能的な素材です。右はヴィンテージのチノパンを分析して生み出されたコットンドリル素材。はき込むと美しく経年変化するのも魅力です。ウールパンツには、ビジネスユースも意識してベルトループを配しました。
How to Style “Wool Officer Pants ” in 2025
「中間色を基調に、やさしげな雰囲気で合わせたい」

トップス:スウェットシャツ / レスター ¥20,900(BRITISH MADE)
ベルト:ロングリボンベルト ¥17,600(GLENROYAL)
パンツ:オフィサーパンツ / ポーツマス(ベルトループ付) ¥38,500(BRITISH MADE)
シューズ:ハワード ¥92,400(JOSEPH CHEANEY)
ウールの「ポーツマス」から四方さんが考えたコーディネートがこちら。
「ネイビージャケットのスタイリングで、真っ白ではなくオフホワイトを活用すると今どき感が高まりますとご説明しましたが、オフホワイトにはネイビーだけでなくグレーも好相性。とはいえ、ここでも重要になってくるのがそのトーンです。あまり濃いグレーを合わせると、コントラストがつきすぎてオフホワイトの柔らかさが活きてこない。これくらいのミディアムグレーを合わせると、モダンな印象にまとまります。
オフホワイト×ミディアムグレーの装いは、都会的で上品な印象を醸し出せるのが魅力。こちらの服装はフライトジャケット『リーミング』にスウェットシャツ『レスター』、そしてオフィサーパンツ『ポーツマス』と本来骨太な背景をもつアイテムばかりですが、中間色を基調にしたやさしげなトーンで大人っぽく装えます」
How to Style “Cotton Officer Pants ” in 2025
「紺×紺の合わせは、素材感を変えるのが秘訣」

パンツ:オフィサーパンツ / ポーツマス(コットンドリル) ¥28,600(BRITISH MADE)
シューズ:ハワード ¥92,400(JOSEPH CHEANEY)
こちらはコットンドリルの「ポーツマス」を使ったコーディネート。
「パンツとほぼ同色のネイビーシャツを合わせて、ミニマルな春夏スタイルにコーディネートしました。ここで重要になってくるのが、素材感のマッチング。同じような風合いのものを組み合わせるのではなく、同色だからこそ素材の風合いには変化をつけると大人っぽい印象に仕上がります。
こちらのコーディネートの場合、パンツはガシッとした肉厚のコットンドリルなので、シャツは軽やかな素材が好相性。こちらはコットン×リネン×ポリエステルで、薄くふんわりとした風合いです。このメリハリがスタイリングに奥行きをもたらしてくれるというわけですね。トップスに軽快な素材を取り入れることで、ダークトーンながら春夏らしい季節感を演出できるところもポイントです」
■ 四方章敬さん
「LEON」「MEN’S EX」「Men’s Precious」「THE RAKE JAPAN」など、ラグジュアリーメンズファッション誌で活躍中の四方章敬さん。イギリスの洋服に詳しいだけでなく、洋服が持つディテールとその背景を熟知、現代のファッションにまで精通するスタイリストです。
■ BRITISH MADE ORIGINAL WEAR COLLECTION
[キーワードはモダンブリティッシュ]
「イギリスにルーツを持つアイテムを現代のライフスタイルに合うよう再構築する」をテーマに、オリジナルウェアを展開。クラシックの良さを生かしつつ時代に合わせてモディファイすることで、モダンブリティッシュなアイテムを提案していきます。メンズアイテムはスタイリスト四方章敬が監修。
Instagram:https://www.instagram.com/bm_britishmade_clothing/
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Text by Hiromitsu Kosone / 小曽根広光