装いが軽快になる春夏シーズンの足もとに、快適さをキープしたまま清潔な印象を与えてくれるのがレザーローファーです。 ブリティッシュメイドでお取り扱いのあるジョセフ チーニーのコインローファー HUDSON(ハドソン)と、タッセルローファーのHARRY(ハリー)は、なかでも定番に位置づけられる英国靴らしい品格のある逸品です。 カジュアル化が進む現代のビジネススタイルから休日のオフスタイルまで、幅広く活躍してくれるこの2足を主役に、靴職人でもある青山本店スタッフの厚井に、ローファー選びのコツを紹介してもらいました。
スタンダードな顔つきが魅力の「ハドソン」
ジョセフ チーニーのローファーの中で、最もセールスを誇る定番モデル「ハドソン」。 ローファーらしい定番のルックスで、良い意味で「癖のない」のがハドソンの魅力といえます。 木型には5203ラストを採用。 程よいボリューム感と丸みがありつつ、エレガントなバランスで、英国靴らしさを放っています。
人気スタイリストの四方 章敬さんにもブリティッシュメイドのスタイリングで度々、使用いただくことから、コーディネート面での高い守備範囲が伺えるアイテムです。
品の良いタッセルローファー「ハリー」
ドレッシーでシャープな印象のタッセルローファー「ハリー」。 ハドソンに採用される5203ラストと比べて、シャープなトゥフォルム、やや抑え気味の甲の高さなどスマートなバランスの214ラストを採用しています。 控えめでありながら、タッセルの洒脱な印象でエレガントな印象をさり気なく醸す、隙のないローファーだといえるでしょう。
こちらの2足がブリティッシュメイドの中でもシーズン問わず人気の高いローファーです。 それでは靴職人でもある青山本店スタッフの厚井に、ローファーを選ぶ際にお客さまからよく聞かれるポイントを説明します。
ローファーを選ぶときのポイントは?
「既に色々な靴をお持ちなら、リラックス、タイト、どんなフィッティングがお好みかを最初に振り返ると、選びたいサイズが見えてくると思います。 それから、お好みの服装(スタイリング)に合わせてサイズを選んでいく、というのが足型のジャストフィットというより、本来のスタイルにあった正解に導く順番だと思います」
「ざっくりで恐縮ですが、足の一番でっぱっている部分であろうボールジョイント(親指と小指の付け根)の外周が、靴の中である程度ピッタリはまっているか、かかとがゆるすぎないか。 この2つをみるとベターチョイスができるはずです」
[Point]
1. 好きなフィッティングの傾向を整理する
2. 好きなスタイリングを考える
3. ボールジョイント、かかとの2軸からサイズを選ぶ
「また、親指と小指を線で結んだ甲の部分は、紐による抑えがないぶん空間が生まれやすく、そうすると履き馴染む前にかかとが抜けてしまうようなケースもあります」
「青山本店では修理サービスのひとつとして、サイズ調整も提案しています。 土踏まずから前の空間を埋めるハーフ・インソールはもちろん、アッパーとライニングの間にスポンジを入れて甲の空間を詰める処理も可能です」
人気モデル ケンゴン Ⅱ Rとローファーモデルを比べると?
<スタイリングでの比較>
「CAIRNGORM Ⅱ R(ケンゴン)は、ジョセフ チーニーを代表するカジュアルモデル。 ヴェルトショーンウェルト製法やシボ感の強いグレインカーフレザー、重厚なコマンドソールといった防水、汚れに強い仕様、トゥのダブルステッチ、サイドのVステッチなどディテールもタフな印象です」
「そのタフなつくりの一方で、春夏に取り入れるのは少し難しいと感じている方もいらっしゃるはず。 そこで春夏シーズンも気軽に活躍しやすいローファーモデルがおすすめです。 たとえば夏ならショーツ、Tシャツといったラフなメンズ定番スタイルでも、合わせるだけで大人らしい品のある印象にしてくれます。 程よく上品に、コーディネートにあまり左右されない、というのはとても魅力です」
「こうしたコーディネートにおける汎用性の高さと快適さは、タフさを取り入れるならケンゴン Ⅱ R、上品さを取り入れるならハドソンやハリーなど、スタイル面での効用のベクトルは違えど、共通点といえるのではないでしょうか」
<フィッティングでの比較>
「ケンゴン Ⅱ Rに採用される4436ラストは幅広で、捨寸のないリラックスした履き心地が特徴です。 また甲の部分についてケンゴン Ⅱ Rは、羽根のパーツと一体化したベローズタンなので、通常のレースアップよりもフィット感があるのではと思います。 甲の部分に関してはローファーモデルとギャップが少ないと感じる方もいらっしゃると思います」
「サイズに関しては、あくまでケンゴン Ⅱ Rをベースに考えるのであればハドソンに関しては、まずは普段と同じサイズを、ハドソンより幅細の木型のハリーはハーフサイズアップから選ぶと良いと思います。 その上で、可能であれば前後のサイズで試すのが良いでしょう」
STAFF REVIEW:ローファーの魅力
<ハドソンの魅力>
「『ザ・コインローファー』といった風格が魅力です。 自分視点で見下ろすと、木型の特性か丸っこい感じがするのですが、鏡や写真に写るとスマートに見えるのが不思議です。 ハドソンはUK 5.0を着用しています。 意外と足が小ちゃいんですよ」
<ハリーの魅力>
「ハリーはもう、好きなデザインと好きな木型、これだけです。笑 ドレッシーな印象なので、例えば、ストレート〜ワイドパンツと合わせれば適度にカジュアル × ドレスのバランスを取り入れられると思います。 ハドソンと比べて、かかとが小ぶり、幅細の木型なので足の小さい私でも、合いやすいと感じています。 ハリーはUK5.5を着用しています」
Q. それでも選び方に迷ったら?
「ぜひ店舗では遠慮なく足のサイズをスケールで測ってください。 足は朝晩、飲食、荷重非荷重など、1日をどのように過ごしたかで変化する、とてもデリケートな部分です。また、お客さまのみぞ知るフィッティングなので、まずは、どこが一番フィッティングで気になるか、しっかり悩みについて話し合った上で納得のいく提案をしていきたいので、ぜひお気軽に相談してくださいね。 お買い物だけで終わるのではなく、なにかあったらブリティッシュメイドに行こう!そんな信頼してもらえる場所となれるような関係を作れる提案を追求していきたいと思っています」 青山本店 厚井
ジョセフ チーニー日本語公式サイトにて
コインローファー「ハドソン」を使ったスタイルサンプルが掲載中
コインローファーのハドソンを使った定番スタイリングがジョセフ チーニー公式サイトで公開中。 その中からブリティッシュメイドらしい今季のオンオフスタイルをピックアップしました。 ネイビージャケットにグレースラックスの王道の組み合わせ
今までなら足もとは内羽根式のセミブローグやフルブローグが選択肢に上がる方も多かったはず。 しかし昨今のカジュアル化の流れや少しワイドなパンツシルエット、を考慮すると、「ハドソン」のようなコインローファーもマッチします。 以前よりカジュアル要素とボリュームを足すイメージです。
それに合わせてシャツにはブルーのロンドンストライプ、タイは50オンスよりもカジュアル寄りのグレナディンとこちらも柄や素材でカジュアル要素を足したスタイリングとなっています。
生成りアイテムを使ったモノトーンコーディネート
黒のローファーを活かす代表的なスタイルの一つがモノトーンコーディネートですが、そこに1色足すことでまた違った雰囲気のスタイリングに仕上げられます。 こちらのスタイリングポイントは、真っ白ではなくやや色味のある生成りのアイテムを用いること。 黒と生成りを繋げ、その先にアースカラーを加えることで自然とスタイリングに調和が生まれます。 また、パンツもトラウザーズ、インナーもニットTシャツなどを用いることで、大人らしい雰囲気に仕上がります。
ブラックカーフのコインローファー × グレースラックスの鉄板コーディネート
ブラックカーフのコインローファーは程よいボリュームのグレースラックスが鉄板で合います。 これを極力シンプルなスタイルに落とす場合、薄いブルーのシャツをさらっと合わせるのが良いでしょう。 ブルーの濃さは、スラックスのグレーの濃さと合わせるとまとまりが生まれます。
例えばオフィサーシャツのようなシルエットのシャツをタックアウトでさらっと合わせるスタイルをおすすめします。 もしシンプルすぎて物足りないといった場合は、首もとのボタンを一つ開け、袖口をロールアップすることで抜け感を足しましょう。 スラックスとシャツがタイトすぎると足もととのバランスが取りにくくなるので要注意。