各ジャンルで活躍する3名の著名人とグレンロイヤルのアイテムを共同開発する企画がスタートしました。今回は眼鏡店「blinc、blinc vase」のバイヤー兼ディレクターである荒岡俊行さんに製作意図をインタビュー。第1回目のインタビュー後日、持ち運びやすさを重視したフラットな眼鏡ケースは眼鏡置きとしても活用できるように、そしてフラップタイプの眼鏡ケースは大きなアイウエアも収納できるよう微調整を加え、セカンドサンプルが仕上がりました。“ユーザー視点で作る眼鏡ケース”の完成形を改めて荒岡さんにご覧頂きました。
Meeting Day 03.
ー今回は完成形となるセカンドサンプルをお持ちいたしました。ご覧頂いた印象はいかがでしょうか?
「今までにないアイテムに仕上がったように思います。最初は“眼鏡屋だから眼鏡ケースを作りたい”といった形が見えない状態から始まりましたが、実際にサンプルの仕上がりを見たら当初考えていたコンセプトを活かしつつ用途も増えたりと…予想を超えた“眼鏡の楽しみ方”を提案できるアイテムです。」「眼鏡置き兼眼鏡ケースがその結晶です。かつて無いアイテムなのに『家に帰って、どの場所に眼鏡を置こうか?』とか実際に生活の中に溶け込んだシーンが想像出来ます。眼鏡やサングラスの置き場所が決まっていない人も多いと思いますが、眼鏡好きな人の中には眼鏡を見ながらお酒を飲めるほどの人も全然いらっしゃいますからね。(笑)自分が掛けるだけでなくて、眺めていたい美しさがやっぱり眼鏡にはあります。これを機会に定位置を決めていただいて、愛用の眼鏡を飾ってもらえればと思います。これは…本当に良いですね。(笑)」
ーブリティッシュメイドのスタッフでも既に買いたいという人もいます。
「それは良いですね!嬉しいです。」 1940年から続く『荒岡眼鏡』の三代目である荒岡俊行さん。大学卒業後、メーカーに就職。その後ニューヨークで眼鏡の修行をし、帰国後の2001年にアイウエアショップ『blinc(ブリンク)』を外苑前にスタート。2008年には『blinc vase(ブリンク ベース)』をオープン。
ーファーストサンプルからの改善点ですが、使い心地などいかがでしょうか?
「持った時に取り出し口が開きやすいよう側面を曲線のデザインに変更しましたが、見た目もスッキリとして良かったです。当初は直線的なデザインだったのでボリュームがありボテッとした印象でしたが、ボディの中心に曲線を取り入れた事によって、しなやかなラインが生まれて綺麗になりました。さらに、曲線にしたことで眼鏡が入った際の膨らみがより綺麗に出て、美しく見えます。ほんの小さな部分ではありますが、大きく印象は異なります。そして眼鏡置きとしての使用を考えて、逆面中央にグレンロイヤルのブランドロゴを配したのも良かったです。中央にロゴがあると無いとでは単純に見た目の印象が大きく異なります。そして、ブリッジの下にロゴが来てバランスもバッチリ。」「そしてこの中央の“くびれ”の形状。ちょうど両端がふくらみ、中央が細くなるというのは一般的な眼鏡とシルエットが似ています。ファーストサンプルはただ置いていただけという印象でしたが、より眼鏡置きとしての完成度が高くなったと思います。また、前面のロゴを若干上に調整することでバランスが良くなりました。薄さも抜群に良いですね。それでいてハリ感のある堅牢なブライドルレザーなので、安心して大切な眼鏡入れることができます。」
「こちらの眼鏡ケースに関してはフラップを1cm伸ばし、5mmほどスナップボタンをずらして眼鏡にテンションをかけないように微調整を施したのが大正解でした。ファーストサンプルではやや窮屈な印象でしたが縦に伸ばした分、余裕が生まれました。スナップボタンもストレスなく押せます。パーフェクトです。」
「フラップを伸ばした分、ボリューム感が気になるところでしたが、縦横のバランスはむしろ良くなり、シンプルになりました。というのも時代によって眼鏡の天地幅(レンズの最大幅)って狭くなったり逆に広くなったりと様々に変わっているんです。今の時代の眼鏡は縦長のものが多いので、ファーストサンプルでは対応しきれなかった新作の大きなサングラスなど、大体のものは入るんじゃないでしょうか。抜群のサイズ感です。」
「スナップボタンも1つの仕様へ変更しましたが、よりスッキリとした見た目に仕上がりましたね。ボタンが2つあると便利な気もするのですが使わないかもしれないし、上の位置で留めた際にボタンが見えるのが気になったので。1つだとデザインとしても上手く収まり洗練されました。」
「そしてステッチカラーですね。グレンロイヤルには色々な製品があると思いますが、このハンターグリーンのステッチカラーは新鮮ですよね。このカラーリングを施す事によって、従来の財布や他の小物とはちょっと違って見えます。ピッチの細い糸で縫製されているこのサイズ感のアイテムだからこそ、変に浮かずに馴染んでいますね。形によってこんなに見え方が違うんだなと驚きました。」
ー仕上がった商品の魅力についてお聞かせください。
「眼鏡置き兼眼鏡ケースの魅力はズバリ、計算していない美しさだと思います。コンセプトにあった薄くて持ち運びのできる、眼鏡の出し入れもスムーズに、価格帯もギフトに向いているといったユーザー視点はイメージ通りでしたが…設計段階では見えない意図的ではなくて偶然生まれた逸品になったと思います。ブライドルレザーのハリ感、そしてこの形状だからこそこの美しさが出たと思います。セカンドサンプルではより『眼鏡置き』として洗練され素敵な仕上がりとなりました。」「そして眼鏡置きとして活用すると、とにかく綺麗に見えますね!絵になります。他にはないアイテムに仕上がったのも魅力的です。オールレザー、しかもブライドルレザーの眼鏡置きって一般的に無いんですよ。使っているうちにシワ感も出てきて経年変化も楽しめそうです。“めっちゃくちゃ良いなこれ!”と自画自賛です。(笑)」
「そしてもう1つはレンズの大きいアイウエアでも収納できる眼鏡ケースを目指しましたが、こちらもパーフェクトですね。レンズ保護の必要最低限の機能は持ち合わせつつ、持ち運びにも向いたものに仕上がりました。テンプルに特徴のある眼鏡が映えそう。C.W.DIXEY & SON( シー ダブリュー ディキシー アンド サン)のウィンストン・チャーチルが着用しているモデルなんてアクセントになって良さそうですね。」
ー今回のグレンロイヤルとの物作り、いかがでしたでしょうか?
「完成するまでに何回も時間を掛けて打ち合わせを重ねてきましたが、その成果物として、本当に素晴らしいものが生まれたと思います。細かくヒアリングしてもらってそれが製品に反映され、スコットランド本国にしっかりとフィードバックされている。そして実際に落とし込まれているところに感動しました。実際の眼鏡の大きさであるとか、おそらく眼鏡ケースにここまで細かくこだわることなんて滅多に出来ないと思うんですよ。ですので我々blincもチームとして楽しく取り組めたと思いました。」ーありがとうございます。どんな風に使って欲しいなど提案はございますか?
「まず眼鏡は習慣として、レンズにしっかりと度が入った眼鏡をする方なら、視力を補うために常に掛けている方が多いと思います。そこで例えば眼鏡とサングラスであるとか複数のタイプの眼鏡を持ち歩くような組み合わせも楽しみ方の1つだと思います。これから時代的に仕事の場面で近い距離を見ることも多くなるはずです。遠距離用と中距離をみる眼鏡だとか、そういった使い分けたい場面で、そのときこそ必要となるのが眼鏡ケースだと思うんです。そういった視点では近代的なシーンにも臨機応変に対応できるアイテムになったんじゃないかと思います。」「決して単純に眼鏡ケースといったモノ単体が持つ魅力だけではなく、用途が見える、そんな提案にもなってくると思います。なによりこんなに拘られた眼鏡ケースってやっぱり探すと無いんですよ。こういったアイテムが増えてくると段々といろんな眼鏡を掛けてみようというキッカケにもなるので、その面でも今回はすごく良かったなと思います。」
「あとは永く使えるということですね。眼鏡も革製品と同じで手入れ次第で長く使えるんですよ。2、3年で使えなくなってしまうと思われる方が多いんです。例えばプラスチックフレームは丁寧に使われても曇ってきてしまいます。それを研磨し直すと新品のように綺麗に蘇るんです。研磨といってもただ削るだけでは歪みが生じます。そこで磨きと削るというのを同時にやりながら繊細に研磨することで表面が蘇るんです。」
「ちゃんと長く愛用してもらいたいので、blincではそういったメンテナンスサービスも行っています。その点はグレンロイヤルのアイテムとの共通点の1つだなと思っています。そしてこうやって時間を掛けて完成したものってお店としても愛着が沸くというか、良いと思えるじゃないですか。それがお客様の手に渡って、その人の生活に取り込まれていく…そうやって長く愛用してもらえるのが想像できます。眼鏡とグレンロイヤルのケース、ぜひ一緒に長く使ってもらいどちらも愛着を持てるパートナーのような存在になればいいなと思います。」
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